藤井正弘の血統トピック

【フェブラリーS】実績なき種牡馬産駒に勝機あり

[ 2012年2月15日 06:00 ]

 14日付紙面でも紹介されていたように、過去にフェブラリーSを連覇した馬は1頭もいない。近いところでは08年の優勝馬ヴァーミリアンが09年はサクセスブロッケンの6着に敗れ、そのサクセスブロッケンも翌10年はエスポワールシチーの3着に終わっている。前年の優勝馬では01年のウイングアローが記録した2着が最高着順。このジャンルの恒常的な選手層の厚さを物語るデータである。

 連覇がないばかりではなく、G1に格上げされて以降、97年のシンコウウインディから昨年のトランセンドまで15頭の優勝馬は全て父馬が異なっている。ちなみにフェブラリーHの名で行われた84年から93年を含め、G1昇格以前には88年優勝馬ローマンプリンスと93年優勝馬メイショウホムラの父ブレイヴェストローマン、91年優勝馬ナリタハヤブサと96年優勝馬ホクトベガの父ナグルスキーと、2頭の「2勝サイヤー」がいた。レースの格が上がったことで血統的には一気に多様性が増したとも解釈できるだろう。他のG1で猛威を振るったサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンの「3大種牡馬」も、このレースに関してはサンデーサイレンスが03年優勝のゴールドアリュールを出したのみ。いい意味でも悪い意味でも「a rollingstone gathers no moss」(転石こけむさず)を地で行くレースと言えるのかもしれない。

 実績的にトランセンドの優位は動かないが「連覇なし」のジンクスを尊重するなら逆転候補も絞られる。トランセンドと同じワイルドラッシュ産駒のナイキマドリード、前記エスポワールシチーと、その父ゴールドアリュール産駒のシルクフォーチュン、同じく前記サクセスブロッケンの父シンボリクリスエス産駒のダノンカモンでは血統面の「ジンクス破り」になってしまう。逆説的ながら、過去にフェブラリーS実績のない種牡馬の産駒が有力、ということになるわけだ。(サラブレッド血統センター)

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