藤井正弘の血統トピック

【ジャパンC】デインドリーム適性、疑う余地なし

[ 2011年11月23日 06:00 ]

 当該年の凱旋門賞の優勝馬が参戦してきたことは過去に5回あったが、2着馬も3着馬もエントリーした(スノーフェアリーは回避)のは史上初めて。先日のBCターフを圧勝したのは凱旋門賞5着馬のセイントニコラスアビーだった。今年は誰はばかることなく、芝2400メートル部門の「統一世界王座決定戦」を標榜(ひょうぼう)できるジャパンCである。

 デインドリームの強さは日本のG1ウイナー3頭が出走した凱旋門賞のレース映像で一目瞭然。単純比較ではエリザベス女王杯連覇のスノーフェアリーの5馬身前を走っている馬、ということになる。あとは日本の馬場にアジャストできるか否か。とりあえず血統面からは、父ロミタスの産駒シャラナヤが09年のエリザベス女王杯で4着に入線したこと、3代母の仏G1ロイヤルオーク勝ち馬レイディベリーを共有する同族に高松宮記念連覇のキンシャサノキセキがいることなど、さまざまな強調材料を見つけることができるが、50%の所有権を社台ファーム代表の吉田照哉氏が持っているという事実以上の説得力はないだろう。世界的オーナーブリーダーが母としての将来込みで手に入れた牝馬である。東京2400メートルの適性については疑う余地なしといっていい。

 最新の“凱旋門賞馬”のジャパンC成績は【0014】。その内訳はトニービン(88年)5着、キャロルハウス(89年)14着、アーバンシー(93年)8着、エリシオ(96年)3着、モンジュー(99年)4着で、優勝の翌年に来日して8着だったバゴを含めて優勝馬はいないが、キャロルハウスを除けば勝ち馬から1秒以内で走っていた。シーズン末期の遠征競馬というハンデを考慮すれば、想定内の負け方という見方もできる。凱旋門賞馬といえども八分程度のパフォーマンスでは到底勝ち切れない厳しいレースということ。もちろん、デインドリーム陣営もその辺は承知の上での来日のはずだ。ちなみに99年のモンジューを返り討ちにしたのは凱旋門賞で死闘を演じたエルコンドルパサーと同期のダービー馬スペシャルウィーク、ブエナビスタの父である。(サラブレッド血統センター)

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