藤井正弘の血統トピック

レイン母系に日本の流れ 英ワンツーも

[ 2011年11月9日 06:00 ]

 今年のエリザベス女王杯に対する英国の競馬ファンの思いには複雑なものがあるかもしれない。今回来日したスノーフェアリーとダンシングレインは1歳違いの英オークス馬。日本で言えばブエナビスタとアパパネの初顔合わせが海外で行われるようなものだからである。

 連覇を狙うスノーフェアリーは今シーズン未勝利だが、この秋は愛チャンピオンS2着、凱旋門賞3着、英チャンピオンS2着と、牡牝混合の欧州古馬G1戦線で中身の濃いパフォーマンスを連発。昨年の出走時から4ポイント上積みされたプレレーティングの122が示す通り、確実にパワーアップしている。母の父の父ウォーニング(96年毎日王冠勝ちのアヌスミラビリス、00年安田記念2着ディクタットの父)、祖母の父マルジュ(99年ジャパンC2着インディジェナスの父)と、母系に日本の国際競走で実績のある血脈を内蔵する“カク外血統”であることは昨年の当コラムでも指摘した。10週でG1・4戦目というハードスケジュールを乗り切る調整力も備わっているはずだ。

 今年の英オークスを逃げ切ったダンシングレインは、ドイツでもオークスに該当するG1ディアナ賞を制した。プレレーティング117は昨年のスノーフェアリーに1ポイント及ばないが、3歳世代牝馬の世界最強クラスであることに変わりはない。

 ダンシングレインの母レインフラワーは、英ダービー馬にして種牡馬として日本で3頭の重賞ウイナーを出したドクターデヴィアス、高松宮杯勝ち馬にしてオセアニアのG1サイヤーとなったシンコウキング、高松宮記念勝ちのスズカフェニックスの母ローズオブスズカの半妹。この母の父インディアンリッジは、イタリアンレッドの母の父でもある。母系の血を見る限りは日本の芝に適応可能な下地が認められるだろう。昨年、スノーフェアリーとともに出走した同じデインヒルダンサー産駒のアーヴェイは16着に沈んだが、今年は女王の国の新旧オークス馬による“ワンツー”も十分に考えられる。(サラブレッド血統センター)

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