藤井正弘の血統トピック

ダーク産駒 秋天で古巣見返す

[ 2011年10月26日 06:00 ]

 天皇賞を1週後に控えた23日、スペシャルウィークとダンスインザダークが安平町の社台スタリオンステーションから日高町のブリーダーズスタリオンステーションに移動した。前者は牝馬初の連覇を狙うブエナビスタと、G1初挑戦の“芝2000メートルマイスター”ナリタクリスタルの父であり、後者は東京コースで重賞連勝中の新星ダークシャドウと、前走の毎日王冠でそのダークシャドウに次ぐ上がりを使ったダノンヨーヨーの父。どちらも今週末のキーサイヤーと言える大物である。ひと足先にビッグレッドファームへ“異動”した最新の3冠サイヤー、ステイゴールドの代わりに、来シーズンからはブリーダーズSSの即戦力助っ人としてフル稼働することになるのだろう。ちなみに同SSには、これも天皇賞の有力馬であるアーネストリーの父グラスワンダーが07年からけい養中。スペシャルウィークにとっては、現役時にしのぎを削ったライバルと6年ぶりの呉越同舟というわけだ。

 スペシャルウィークは16歳でダンスインザダークは18歳。種牡馬としての余力を残した状態での配置転換は、ポジティブな意味でのリストラクチャーなのだが、前者は今のところブエナビスタ、シーザリオ級の牡馬を出していないこと、後者は菊花賞御用達とも言える長距離偏重の属性が長年務めた社台スタリオンステーションのレギュラーを明け渡す要因となったのは事実。その意味で今回の天皇賞、何とも絶妙のタイミングで古巣を見返すチャンスが与えられたようにも映る。

 特にダンスインザダークの場合は、初年度産駒のツルマルボーイが03年にシンボリクリスエスのレコードVの2着に入線し、翌04年には自身の全妹であるダンスインザムードが3歳牝馬として史上初の連対を果たしたように、もともと秋の天皇賞との血統的相性は決して悪くない。キングカメハメハ(ローズキングダム、トゥザグローリーの父)、ジャングルポケット(ジャガーメイル、トーセンジョーダンの父)、ゼンノロブロイ(ペルーサの父)などの社台SS残留組から自力で“餞別(せんべつ)”をもぎ取っていくシーンも想定しておきたい。(サラブレッド血統センター)

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