藤井正弘の血統トピック

距離延長OK!オルフェーヴル3冠へ“死角なし”

[ 2011年10月19日 06:00 ]

 週明けから流されている菊花賞のCMは94年ナリタブライアンの3冠達成シーン。今年のオルフェーヴルも当時のナリタブライアン級の支持を集めることになる。トライアルの神戸新聞杯でウインバリアシオンにつけた2馬身半差は、2400メートルで争われるようになった07年以降の最大着差。負け数(菊花賞出走時点で4敗)、G1馬の弟(半兄ビワハヤヒデは前年の優勝馬)という血統背景も共通する“5代目”同様、「7馬身差の衝撃」となるかどうかはともかく、6年ぶり7頭目の3冠馬誕生の可能性は極めて大きいといえる。

 極悪馬場で争われたダービーを完勝しているオルフェーヴルの持久力うんぬんは蛇足だが、3000メートルを乗り切るスタミナの裏づけとなるのは母の父メジロマックイーン。祖父メジロアサマ~父メジロティターンに続く天皇賞3代制覇を果たした国産ステイヤー血脈の最終形ともいえる同馬は、90年の菊花賞馬でもある。ちなみに歴代の菊花賞馬で後に菊花賞馬の「母の父」となったのは、49年のトサミドリ(ダテテンリュウ=70年)、64年のシンザン(ハシハーミット=79年)の2頭だ。

 今年は東のトライアル、セントライト記念を制したのもオルフェーヴルと同配合(父ステイゴールド、母の父メジロマックイーン)のフェイトフルウォーだった。母のフェートデュヴァンが札幌2600メートルの特別勝ち馬で、祖母の父は英3冠馬ニジンスキー。血統的には距離延長も望むところだろう。

 菊花賞過去71回の歴史で同一種牡馬の産駒が1、2着を占めたケースは最も近い一昨年のスリーロールス→フォゲッタブル(父ダンスインザダーク)まで延べ6回。そのうちの2回は3冠馬が絡んでいた。64年のシンザン→ウメノチカラ(父ヒンドスタン)と05年のディープインパクト→アドマイヤジャパン(父サンデーサイレンス)である。

 一方、50年のクモノハナ(2着)から06年のメイショウサムソン(4着)まで、菊花賞で3冠を逃した馬は8頭を数えるが、同じ種牡馬の産駒に負けた例はない。大本命馬にとってフェイトフルウォーは、何とも好都合な血統的援軍と言えるかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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