藤井正弘の血統トピック

【宝塚記念】ダノンヨーヨー大舞台向きの長打力

[ 2011年6月22日 06:00 ]

 今週放映中の宝塚記念のテレビCMには「最速の機能美」「速さは自由か孤独か」という秀逸なキャッチコピーとともに98年のサイレンススズカの映像が使用されている。 

 サイレンススズカのベストパフォーマンスが宝塚記念であったか否かは見解の分かれるところだろうが、それから2戦後の天皇賞の3コーナーでよう折した希代の快足馬にとって結果的に最初で最後のG1タイトルとなったレース。他にも01年のメイショウドトウ、02年のダンツフレーム、08年のエイシンデピュティ、そして昨年のナカヤマフェスタがそうだったように、G1初制覇が宝塚記念というケースは少なくない。時期的にも距離的にも前半戦の敗者復活戦となる夏のグランプリには“無冠の帝王”救済レースといった裏の顔があるのである。 

 レーティング的には並のG1馬の上を行く最強4歳世代のルーラーシップ、トゥザグローリー、昨年の3着馬アーネストリーなど、今回も「G1未勝利馬」の層は分厚いが、血統的にはマイル部門からコンバート初戦となるダノンヨーヨーも侮り難い。 

 デビュー以来15戦中14戦までが1600メートルであり、富士S優勝、マイルチャンピオンシップ2着を含む距離実績【6323】というダノンヨーヨーだが、唯一使われた1800メートル戦でも後方から脚を伸ばして2着を確保していたことは注目に値する。菊花賞馬にして芝3000メートルの世界レコードホルダーでもあるナリタトップロードの甥(おい)にあたり、有馬記念など2000メートル超の重賞6勝のマツリダゴッホとはいとこ同士の関係。距離克服能力だけでなく、大舞台向きの長打力が潜在する一族の出身であることも強調材料だ。

 同じダンスインザダーク産駒のツルマルボーイは、02年、03年と2年連続で小差2着に突っ込み、古馬重賞キャリアの中で最初で最後のマイル戦となった翌年の安田記念でG1制覇を果たした。ダノンヨーヨーが“逆ツルマルボーイ”である可能性は少なからず、ある。(サラブレッド血統センター) 

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