藤井正弘の血統トピック

【天皇賞・春】血に秘める可能性大!ジェントゥー良馬場でも

[ 2011年4月27日 06:00 ]

 今回の天皇賞・春には05年のマカイビーディーヴァ以来、6年ぶり2頭目となる外国調教馬のエントリーがある。2010ワールドサラブレッドランキングのE(エクステンディド=超長距離=2701メートル以上)部門で115ポンドの評価を得たフランスの7歳セン馬ジェントゥー。欧州長距離界を代表する強豪である。

 G3グラディアトゥール賞(3100メートル)を皮切りに、G1カドラン賞(4000メートル)、G1ロイヤルオーク賞(3100メートル)と、昨秋のロンシャンで行われた長距離Gレースを総ナメにしたジェントゥーだが、少なくとも1年前までは国際的には無名の存在だった。それもそのはずで、前記グラディアトゥール賞は6歳秋、デビュー39戦目にして初のGレース挑戦。遅咲きタイプが少なくないジャンルにあっても異例の晩成型であり、現実に今シーズン初戦の準重賞(2着)で示したパフォーマンスには前年確定値を1ポンド上回る116ポンドの暫定値が与えられた。3000メートル級では連対パーフェクト継続中。7歳にしてなお開発余地を残している可能性も大いにあるだろう。

 ジェントゥーの血統で特筆しておくべきは祖母ルナークエストの構成血脈。凱旋門賞馬レインボウクウェスト産駒であるこの祖母は、96年春の天皇賞馬サクラローレルのいとこにあたるのだが、そのサクラローレルの父もルナークエストと同じレインボウクウェスト。つまり両馬は血統表の4分の3が共通するという姉弟に近い間柄なのである。陣営の参戦を後押ししたのも、あるいはジェントゥーの牝系図にブラックタイプ(太字)で表記された「SAKURA LAUREL(TENNO SHO―L)」の名だったのかもしれない。

 ルーソリテール~リアファンとさかのぼる父系は、93年、95年の隔年V2を果たしたライスシャワーの時代から春の天皇賞御用達ともいえるロベルト~ヘイルトゥリーズン系。3100メートル3分15秒5の持ち時計が示す通り、高速決着に不安があるのは確かでも、血統的には重馬場要員と決めつけてしまうのは危険だ。(サラブレッド血統センター)

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