藤井正弘の血統トピック

スロー出世記録に挑むフジキセキ

[ 2011年4月20日 06:00 ]

 23年ぶりに東京コースで争われる皐月賞は、例年より1週遅れの開催。データやジンクスの1つ2つは軽く飛んでしまいそうな非常事態だけに、血統面でも例外的な記録が生まれる可能性がある。

 ディープインパクト産駒は桜花賞に続いての3頭(ダノンバラード、トーセンラー、リベルタス)出し。勝てば史上8組目の皐月賞父子2代制覇で、種牡馬ディープインパクトは最初のクラシックで牡牝の第1冠を独占することになるが、これは84年のグレード制導入以降、まだ例がない。

 同じく種牡馬ステイゴールドもオルフェーヴル、ナカヤマナイト、フェイトフルウォーの3頭出し。こちらは6世代目で初のクラシック制覇に挑む。ちなみにステイゴールドの母ゴールデンサッシュは、23年前の“東京皐月賞”2着のディクターランドと同配合(ディクタス×ノーザンテースト牝馬)でもある。オルフェーヴルとフェイトフルウォーは母の父も同じメジロマックイーンだが、「母の父が内国産種牡馬の皐月賞馬」は89年のドクタースパート(母の父タケシバオー)以来、20年以上も現れていない。

 サダムパテックの父フジキセキもクラシック未勝利。初年度産駒から現3歳まで13世代連続で重賞勝ち馬を出し、JRAG1ウイナーも国内産だけで5頭を数える当代屈指の名種牡馬だが、牡馬3冠と桜花賞、オークスにはこれまで縁が薄かった。ただし、皐月賞に関しては00年2着のダイタクリーヴァ(首差)、06年2着のドリームパスポート(半馬身差)と、2度のニアミスがある。

 グレード制導入以降でクラシック制覇に最も時間がかかった種牡馬は、国産12世代目にダービー馬ウィナーズサークル(89年)を出したシーホーク。サダムパテックが勝てば、16年前の“幻の皐月賞馬”フジキセキは、自身の悔恨に終止符を打つとともに、クラシックサイヤーのスロー出世記録を更新することにもなるのである。(サラブレッド血統センター)

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