藤井正弘の血統トピック

早世の“先代”3冠馬 母父として復権の時来たる

[ 2011年3月2日 06:00 ]

 中山記念のヴィクトワールピサの強さには正直、驚かされた。デビュー以来初めてとなった2000メートル未満のレース。キャプテントゥーレとの新旧皐月賞馬対決は接近戦を見込んでいたのだが、結果は大外ひとまくりで差し切り2馬身半。スピード勝負が予想されるドバイワールドCへの助走としても完璧な内容だった。

 ちなみにヴィクトワールピサの母の父マキアヴェリアンは、99年のアルムタワケル、02年のストリートクライと、ドバイワールドC優勝馬を2頭出した唯一の種牡馬でもある。そして後者ストリートクライと3代母ブールバードを共有する同族が父のネオユニヴァース。血統的にも“ワールドC仕様”なのだから4週間後が本当に待ち遠しい。

 さて、今週の弥生賞は昨年、ヴィクトワールピサが皐月賞の大本命に躍り出たレース。一昨年も同じネオユニヴァース産駒ロジユニヴァースの完勝だった。今季初戦を迎えるオールアズワンには、種牡馬ネオユニヴァースのV3が懸かっているということになる。

 オールアズワンの血統で目を引くのは「母の父ナリタブライアン」。13年前の秋、7歳で早世した無敵の3冠馬である。英国のニジンスキー、米国のセクレタリアト、日本のミスターシービー…。洋の東西を問わず、「3冠馬」は母の父として時に大仕事をする。最新の3冠馬が種牡馬として幅を利かす今年のクラシック戦線。“先代”の復権には絶好のタイミングかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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