藤井正弘の血統トピック

藤井氏 タキオン第4世代 5頭出し不気味に映る

[ 2009年5月19日 06:00 ]

 【藤井正弘の血統トピック】父がサンデーサイレンス系の春の天皇賞馬であり、仏ダービー馬にして日本ダービー馬の父でもあるカーリアンが母の父…桜花賞の当コラムで“似たもの同士”と書いたブエナビスタとレッドディザイアの血統的共通項(ちなみに後者の父マンハッタンカフェは前者の母ビワハイジのいとこでもある)は、ある意味で桜花賞以上に2400メートルのオークスへの適性を保証するものだった。第2冠で両馬に割って入る可能性があるとすれば、やはり別路線を進んできた未対決組ということになる。
 トライアルのフローラSを制したディアジーナは3代母が69年のオークス馬シャダイターキンで、忘れな草賞勝ちの新星デリキットピースは母が92年のオークス馬アドラーブルの半妹。未知の魅力に加え、それぞれにレースゆかりの牝系の出身という点もセールスポイントだ。
 視点を父馬に移すと、フローラS2着ワイドサファイア、同3着ハシッテホシーノ、そしてオープンのスイートピーS勝ちのブロードストリートと、3頭の新興勢力を送り込んできたアグネスタキオンの勢いは見逃せない。桜花賞3着のジェルミナル、同8着のダノンベルベールを合わせると驚きの5頭出しである。
 別表の通り、実のところアグネスタキオン産駒のオークス実績は、あまり芳しいとは言えない。出てくれば確勝級だった一昨年のダイワスカーレットの回避は痛かったが、3世代で出走5頭とサンプル自体も少ないのは、牝馬の第2冠と産駒の成長曲線が微妙にズレていたことの証明だろう。
 牡馬が極度の不振(皐月賞、ダービーともエントリーなし)にあえいでいるタキオン第4世代だが、逆説的ながら、それゆえに“オークス5頭出し”は不気味に映る。現3歳限定で遺伝因子に何らかの変異があったと仮定すれば、とりあえず過去の血統データに関してはリセットしてかかる必要もありそうだ。
(サラブレッド血統センター)

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