藤井正弘の血統トピック

ムーン父系をつなぐ“突破力”

[ 2018年2月7日 05:30 ]

 クラシックの登竜門として定着した今週の共同通信杯に興味深い血統の馬がエントリーしている。未勝利、500万を連勝したオウケンムーン。08年菊花賞馬オウケンブルースリの産駒である。

 菊花賞が唯一のG1勝ちという馬は、どうしてもスタミナ偏重のレッテルを貼られてしまうため、生産界では敬遠されがちになる。オウケンブルースリの場合も種付け頭数は初年度の23頭をピークに12、9、8、1頭と、福井明オーナーの自家生産用に近い立ち位置で種牡馬生活を続けてきた。それでも現4歳の初年度産駒は出走12頭中、地方競馬を含めて7頭が勝ち上がり、血統登録産駒11頭の第2世代からもオウケンムーンの他に未勝利勝ちのドラゴンハートが出ているのだから、種牡馬としての潜在能力は相当なものといえる。実は1番人気確実だった10年前の菊花賞当時のコラムで、血統的には純粋なステイヤーとは思えないと書いて痛い目に遭ったのだが、その見方は今も変わりがない。ウオッカを差し切ったかに見えた4歳時のジャパンCで発揮した爆発力こそ、この馬の真骨頂だった。

 トニービン系には元々、量より質の一点突破型で父系をつないできた歴史がある。オウケンムーンにもその“突破力”が備わっている可能性大。父系祖父ジャングルポケットとの隔世2代制覇の目は十分にある。(サラブレッド血統センター)

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