藤井正弘の血統トピック

トルークマクト“血中アルゼンチン濃度”に注目!

[ 2017年11月2日 05:30 ]

 その昔、アルゼンチン共和国杯ではアルゼンチン血統を狙え、という少々オカルティックな馬券戦術を提唱していた。アルゼンチン血統がさほどポピュラーでなかった時代のことで、実際、90年代半ばには94年マチカネアレグロ、95年ゴーゴーゼット、97年タイキエルドラドと、血統表内にアルゼンチン産種牡馬の名がある優勝馬が続出していた。

 ところが大種牡馬サンデーサイレンスは祖母の父がアルゼンチン産のモンパルナスであるにもかかわらず、意外にこのレースが苦手だった。結局、産駒の勝ち馬は01年トウカイオーザのみ。サンデーサイレンス全盛時代を迎えてオカルトは効力が薄れてしまったわけだ。そして代替わりした現在、大半の日本産サラブレッドにはサンデーサイレンス経由でアルゼンチン血統が標準装備されているともいえる。これからは“血中アルゼンチン濃度”にこだわるべきかもしれない。

 トルークマクトは父のアドマイヤジャパンがディープインパクトと同期のサンデーサイレンス後継種牡馬。母の父ハイシャパラルは、その父サドラーズウェルズの祖母スペシャルがアルゼンチン産の歴史的名馬フォルリの血を受けている。このフォルリもまた、サドラーズウェルズやBMSとしての代表産駒ヌレエフを通じて歴代優勝馬の血統表にかなりの頻度で登場するアルゼンチン共和国杯の黒幕的血脈。「祖母の父ヌレエフ」のデニムアンドルビーともども、大駆けを警戒しておきたい。(サラブレッド血統センター)

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