藤井正弘の血統トピック

【安田記念】伯母スティンガーの雪辱かかるファルクス

[ 2017年6月1日 05:30 ]

 一昨年はスクリーンヒーロー産駒のモーリスが優勝し、そのモーリスの連覇を阻んだ昨年のロゴタイプはローエングリン産駒。現在では信じられないことだが、どちらの父も交配当時は種付け料30万円(受胎確認後支払い)というB級サイヤーだった。あらゆるジャンルのG1で猛威を振るったサンデーサイレンス産駒の優勝は10年前のダイワメジャーが最初で最後だったように、このレースには大手の寡占を許さないという血統的な不文律があるようにも思える。それぞれに有力な手駒をそろえたディープインパクトとキングカメハメハも“2勝目”のハードルは案外高いかもしれない。

 父馬の意外性という観点からは前哨戦の京王杯スプリングC勝ち馬レッドファルクスが浮上してくる。父のスウェプトオーヴァーボードは03年の供用初年度から9年連続で100頭超の種付けをこなし、昨年も70頭の交配牝馬を集めた人気種牡馬だが、サイヤーランキングでは14年の19位が最高位。身の丈に合った条件で手堅く稼ぐという産駒のコストパフォーマンスの良さが最大のセールスポイントで、レッドファルクスが8世代目にして初のG1勝ち馬だった。

 レッドファルクスの母ベルモットは、17年前に1番人気で4着に敗れたスティンガーの全妹。血統的には伯母のリベンジもかかる“2階級制覇”の目は十分だ。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る