【チャンピオンズC】稲妻ジュンライトボルト 新ダート王 G1初制覇の石川「ブラボー!」王者差し切った

[ 2022年12月5日 05:25 ]

昨年のチャンピオンズCを制したジュンライトボルト(中央)

 ブラボーな末脚だ!師走の中京ダート決戦「第23回チャンピオンズC」は4日、16頭で争われ、石川裕紀人(27)騎乗の3番人気ジュンライトボルト(牡5=友道)が中団から馬群を割って突き抜けた。同じ5歳世代の王者テーオーケインズを差し切った実力はもう本物。今春、芝に転向し、6戦目で先週ジャパンCを制したヴェラアズールとは逆パターン。芝からダートに転じて出世ロードを駆け抜け、輝きを放った。

 その名の通り、まるで稲妻が走ったかのような切れ味。ジュンライトボルトが中団で直線に向いたとき、馬群は固まったままで進路がない。それでも石川は冷静だった。外のテーオーケインズが抜け出し、空いたスペースを見つけるとエンジン全開。パートナーの抜群の手応えを感じ取り、ステッキを振るうとグイグイ伸びてくる。昨年覇者テーオーケインズも、先頭に立ったクラウンプライドもまとめて差し切り、ゴールに飛び込んだ。人馬ともうれしいG1初制覇。石川は何度もガッツポーズを繰り返し、検量室前で友道師と抱き合った。「うれしい以外の言葉が見つからないです」と喜びをかみしめ、その後の場内インタビューで「ブラボー!」と旬のワードを絶叫。ストレートに感情を表現した。

 ダートに転向した7月からコンビを組んで4戦目。前走のシリウスSで重賞を勝ち、鞍上には「G1を勝てる馬」との手応えがあった。だからこそ「ちゃんと緊張しました」。競馬が近づけば「どういう展開になるか毎日、考えていました」とシミュレーションを繰り返した。萎縮ではなくモチベーションにつながる程よい緊張感。ただ、そんな胸の高鳴りも、レース当日にパートナーにまたがれば吹き飛んだ。「具合が凄く良くて。これならいける」。能力を出し切ることだけに集中し、瞬発力を生かすタイミングを見逃さなかった。「馬が一戦一戦、成長していますね。素晴らしい脚を使いました」と感謝しきり。今秋は荻野極、坂井と後輩騎手がG1初勝利を飾り、デビュー9年目&19回目のG1挑戦となった鞍上もついに仲間入りした。「(後輩騎手の活躍は)刺激を受けました。自分もそろそろできると思って自信を持って乗りました」と胸を張った。

 友道師も「任せるから気分良く乗ってきてくれと(レース前に)伝えて、うまく乗ってくれました」と殊勲の石川をねぎらった。マカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースといった3頭のダービー馬をはじめ、数々の名馬を育て上げた友道師もダートG1は初勝利。「芝、ダートは意識していなかったんですけどね」と照れ笑いし「ダート馬っぽくなってきましたよね。首の周りの筋肉に迫力が出てきた感じ。芝でも好走していたけど、ああいう切れ味はダートに替わってからですよね」と開花を喜んだ。

 今後については「当然、ダートです」と笑いを誘う。「来年はフェブラリーS(2月19日、東京)やドバイ(3月25日、メイダン)にもレースがあるので、そのあたりになると思う」と見据えた。5歳夏にダートに転向し、わずか半年。同世代の王者テーオーケインズを破って頂点へ。快進撃はまだまだ続いていく。


 ジュンライトボルト 父キングカメハメハ 母スペシャルグルーヴ(母の父スペシャルウィーク)17年4月27日生まれ 牡5歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・河合純二氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績25戦7勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億7772万3000円 馬名の由来は冠名+稲妻+落雷。

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