バスラットレオン 仏で98年タイキシャトルの再現期待

[ 2022年8月12日 05:00 ]

バスラットレオン
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 【競馬人生劇場・平松さとし】

 今週末、仏国ではジャックルマロワ賞(G1、ドーヴィル競馬場、芝1600メートル)が行われる。直線のマイル戦というこの欧州伝統のG1を、1998年に制したのがタイキシャトル(美浦・藤沢和雄厩舎)だった。

 春には安田記念(G1)を快勝。秋にはマイルチャンピオンシップ(G1)を使うことが決まっていた同馬を、藤沢和師(引退)は夏に海外遠征させることにした。その際、どの国のどのレースに挑戦させるかを、次のように語っていた。

 「英国のサセックスSか仏国のジャックルマロワ賞のどちらかに使おうと考えています」

 最終的にジャックルマロワ賞を使ったのは周知の通りだが、当初はサセックスS(G1)も候補に挙がっていたのだ。

 「自分は日本の競馬界に入る前、英国のニューマーケットで4年ほど勉強をさせてもらいました。その際(サセックスSの行われる)グッドウッド競馬場の美しさに感動したので、そこで走らせてみたいという気持ちがありました」

 タイキシャトルのオーナーである大樹ファームは、当時、愛国に育成牧場を持っていた。そこで、その牧場長に意見を求めた。すると、次のように言われたと語る。

 「カズ、英国の競馬場は奇麗だけど、モノ凄くタフだぞ。とくにグッドウッドはアンジュレーションが厳しい。“より日本馬向き”なのは仏国だろう」

 言われてみれば確かにそうだと納得。標的をフランス、ジャックルマロワ賞に絞ると、見事にこれを優勝したのだった。

 さて、今年、そのジャックルマロワ賞にバスラットレオン(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)が挑戦する。近年でもまれにみるハイレベルなメンバー構成で、楽な戦いにはならないだろう。しかし、同馬が前走で走ったのはサセックスS。そこで見せ場十分の4着に好走したことを思えば“より日本馬向き”の仏国で前進が見込めるかもしれない。24年前同様の感動に立ち会えるか!?私も現地で応援させていただく。(フリーライター)

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2022年8月12日のニュース