【秋華賞】シェーン 返り咲きへ馬なり併入!蛯名も驚き「春と全然違う。突き抜けるかも」

[ 2019年10月10日 05:30 ]

<秋華賞>3頭併せで追い切るシェーングランツ(中)、コントラチェック(奥)(撮影・郡司 修)
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 「シェーン!カムバック!!」の名せりふが蹄音と共に聞こえた。牝馬3冠最終章「第24回秋華賞」(13日、京都)に向けて9日、春のクラシックで連続着外に終わったシェーングランツが美浦坂路で返り咲きをアピールする追い切りを披露した。藤沢和雄調教師(68)が指揮を執り、東の名手・蛯名正義(50)が調教騎乗。レースでは武豊(50)が手綱を取る。レジェンドの共演で不朽の名作「シェーン」がよみがえる。 秋華賞

 春にしか咲かないサクラやフジが夏の間に成長して芽をつくり、秋に開花することがある。花の返り咲き(カムバック)という。カムバックを告げるようにつぼみを開いたのは「シェーン」と名付けられた漆黒の名花だった。オークス前に続き調教の手綱を取ったベテラン蛯名(レースは武豊)が黒光りする馬体の鞍上で驚いた顔を浮かべた。「レースで乗らない馬のコメントはしづらい」と言いながら、「春とは全然違う。オークスの時は減った体を戻しながらの調整だった。それであそこまでくるんだから…。調教の手応えだけで言えば、今回は突き抜けるかも…」

 ベテランの手綱に返り咲きの感触を伝えた最終追い。坂路で僚馬コントラチェックと併せると、柔らかいフットワークを伸ばしていく。蹄の先まで覇気に満ちた青鹿毛の馬体。馬なりのまま併入だ。

 厩舎では藤沢和師が返り咲きのフジのような笑顔の花を咲かせた。「ひ弱さが取れて、ビックリするほど体の張りが増している。春は姉(ソウルスターリング)ほどたくましくなかったが、どんどん良くなってきた」。桜花賞(9着)、オークス(7着)とも後方から直線で差を詰めてきたが「今度はモタモタして後方に置かれることもないと思う。レースの流れに乗れるんじゃないか」と続けた。

 オークス後は秋華賞直行を念頭に夏全休。「牧場でゆっくり休養して乗りだしも遅らせてもらった。人間は馬を強くすることなんてできないが壊さなければ勝手に成長していく。才能の芽を膨らませる。それが馬だよ」。レジェンドトレーナーの至言。春に咲かなかった花が夏の充電で芽をつくり、秋に開花する。シェーンも返り咲きの花だ。

 春に咲いた半姉のオークス馬ソウルスターリングは14日の府中牝馬Sに出走する。全妹スパングルドスターも同日の東京新馬戦にスタンバイ。「この牝系はドイツの血統。凱旋門賞向きのタフな末脚を使える欧州の馬だから…」と語ると、次の言葉をのみ込んだ。師が定年を迎える22年2月以前に3姉妹のいずれかが渡仏する時が来るかもしれない。シェーン・カムバック。淀のターフに波乱を演出するのは、良血を秋に開花させる返り咲きの名花だ。

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