【ドバイワールドCデー】検疫とは?アーモンド海外Vへ第1関門

[ 2019年3月13日 05:30 ]

美浦トレセン内の輸出検疫所
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 昨年の年度代表馬アーモンドアイやレイデオロ、スワーヴリチャードなどドバイワールドCデー諸競走(30日、UAEメイダン競馬場)を目指す東西のトップホース10頭が13日、美浦、栗東トレセンで検疫入りする。20日の出国まで1週間課される輸出検疫とは…。ドバイ遠征を成功させるための渡航ノウハウを紹介する。

 アーモンドアイなどドバイ遠征馬の検疫入りを目前に控え、出国するまでの馬糧など生活必需品がトラックで美浦、栗東の輸出検疫所にそれぞれ運び込まれた。分厚い鉄の扉はすぐに閉じられ、検疫所の中をうかがうことはできない。入り口の前には大きな立て看板。「本施設は農水大臣により指定された輸出検査場所であるので、許可を得た関係者以外の出入りを禁止する 農林水産省・動物検疫所」と記されている。

 「隔離して伝染病の伝播(でんぱ)を防ぐのが目的です。厳しい条件の下、国に動物検疫所として認定されている施設ですから申請された人しか立ち入りできません。入る際にはシャワー浴と着替えも必要です」。説明するのは美浦トレセン競走馬診療所・酒井哲志防疫課長。検疫の条件は遠征する相手国との取り決め(家畜衛生条件)によって異なるが、欧米、ドバイ、香港遠征時は1週間(中5日間)の輸出検疫が必要となる。検疫を受けていない他馬とは調教中はもちろん、馬道ですれ違うことも禁止。接触を避けるため調教時間を通常より2時間早め、使用するコースも事前の届け出を義務づけている。検疫所と馬場を往復するルートも指定され、各所に配置された職員が誘導を行うほどの徹底ぶりだ。

 「寝起きする環境が変わるのだから海外遠征の最初の関門になります。アパパネは一夜で落ち着き、カイバ食いも1日で戻ったけど、もっと時間がかかる馬もいるでしょう」と語るのがアパパネ、マイネルソロモンの香港遠征に帯同した福田好訓(よしのり)調教助手。「馬は群れで生活する動物。1頭だと寂しがったりして精神的に厳しい。仲間の気配を感じた方が落ち着きます」。アーモンドアイには同じ国枝厩舎のキングスヴァリューが検疫時のみ帯同する。仲間と一緒に1週間の検疫所生活を安心して過ごすためだ。

 検疫入り後は制約が多い。検疫上、馬糧はもちろん、飲み水、寝わら、馬具道具一式の持ち込み禁止。普段使用しているサプリメント(栄養補助飼料)も遠征先の主催者に許可されたものしか使用できない。そのため出国するまでの生活必需品がトラックで輸出検疫所に運び込まれたのだ。「検疫所は厩舎棟から離れているからとても静か。週末に競馬場へ向かう馬運車のエンジン音も聞こえません。そんな閑静な環境に1日でも早く慣れて、リラックスできるかでしょう」(同助手)。13日朝の追い切り後にスタートする検疫所生活がドバイ遠征の第1関門となる。

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2019年3月13日のニュース