菜七子が欲しい!今週から女性騎手新減量で早くも争奪戦

[ 2019年2月26日 05:30 ]

藤田菜七子
Photo By スポニチ

 今週からJRAは女性騎手に関する新減量制度を導入。24日まで☆1キロ減だった藤田菜七子(21)が3月2日の開催から▲3キロ減となる。16年3月のデビュー時と同じ減量へと戻ることを関係者はどうみるのか。美浦トレセンで直撃した。また、先んじて女性騎手の減量制度を導入したフランスで女性騎手はどんな活躍を見せているのか。

 予想通り、いや、予想以上だった。今週から3キロ減になる菜七子。「有利なのは明らか」「依頼は格段に増える」「アドバンテージは絶大」。どの調教師も口調が熱を帯びていた。菜七子の騎手人生が新たな局面に入ることを予感させた。

 共通していたのは「菜七子はうまくなっている」という見解だった。「フォームが良くなった」「バランスがいい」「どんなレースでもできる」。フェブラリーSでもコパノキッキング(5着)を冷静に導いていた。ルーキー当時より格段にうまくなり、その上で3キロ減となるのだから依頼しないのは損という考えだ。3月2、3日の開催で菜七子への騎乗依頼が殺到することは間違いない。

 男性騎手と同条件で頑張ってきた菜七子。これからデビューする女性騎手は菜七子と違って4キロ減から始まる。菜七子の新人当時より多くの依頼が集まることは必至で、菜七子より成長が早いかもしれない。フランスのようにリーディング上位に女性騎手が何人も並ぶ時代は、すぐそこまで来ている」

 【小島茂之師 有利になるのは明らか】 菜七子の技量は3キロ減のルーキー時代(昨年6月17日まで)と比べて格段にアップしています。再び3キロ減となれば騎乗依頼が格段に増えるのは間違いない。これまで通り、うちの馬に乗ってもらえるかどうか(笑い)。頼むなら早いに越したことはないと思って、3月3日の小倉に出走予定のアラスカノオーロラ騎乗を前走(2月2日の中京500万を菜七子騎乗で2着)後に予約しました。2月に1キロ減だったのが月替わりした途端に3キロ減で走れる。有利なのは誰の目にも明らかでしょう。

 彼女は減量特典とは別に、評価できる点がたくさんあります。デビュー当初から自分の考えをしっかり持っていて「こういうレースをするのがいいと思う」とか「次はこう乗りたい」と言ってくる。デビュー3カ月後の16年6月、大敗していたラミアカーサという馬に騎乗させたところ8着。後ろから脚を伸ばす競馬に徹したいという考えを尊重して、その後も乗せ続けると3、4着と成績を上げて4度目の騎乗でついに勝利を挙げたのです。プロは結果が全てですがデビュー年から結果を出してきた。

 最近は騎乗フォームも格段に良くなりました。「重心をもっと低くすべきだ」とアドバイスした通りのフォームになった。まだまだ乗せていくつもりなので、ステッキから拳の使い方まで細かくアドバイスしていますが、向上心を持って耳を傾けてくれます。以前は減量特典だけで乗せてきました。でも、最近は勝ちにいく馬を乗せられるようになりました。女性2キロ減の特典はとても大きい。エージェント(騎乗依頼仲介者)なしで、さばき切れるのか…。そんな心配をしてしまうほど3月から騎乗依頼が増えるでしょう。

 【高橋文雅師 2、3馬身違ってくる】従来の1キロ減でも馬を動かせているのに3キロ減となればアドバンテージは絶大。彼女に合っている馬、例えば、うちのトロピカルスパートやアシェットみたいに折り合いをうまくつけて脚をためれば伸びる馬は、より走るようになる。2、3馬身は違ってくる。彼女に合わない馬、例えば道中も常に動かす必要がある馬にはこれまで依頼しなかったが3キロ減なら乗せやすくなる。3月からは引く手あまたでしょう。私も3月1週目の小倉に使う予定の管理馬を打診しているが果たして乗ってもらえるかどうか…。

 彼女の一番の魅力はバランスの良さ。以前は馬の前方に重心を乗せていたが、今は体が起きて馬の真上に重心を置けるようになった。体幹トレーニングを続けてきた成果でしょう。今後は短期免許で来日したモレイラやマーフィーみたいな重心が全くブレない騎乗を目指してほしい。

 【畠山吉宏師 場数踏んで成長した】4月の福島開催で管理馬を依頼済みです。デビュー時よりも数段、上手になっているのにデビュー時の減量(3キロ減)に戻るのですから黙っていても騎乗依頼は増えるでしょう。以前は逃げるか、外を回して追い込むかの極端なレースが目立ちましたが、今ではどんなレースでもできる。場数を踏んで大きく成長したように感じます。私自身はお世話になった根本先生への恩義や馬主さんの希望で騎乗依頼するケースもあったのですが、今後はより積極的にお願いすることになると思います。

 【小桧山悟師 女子力もアップした】「菜七子」から「藤田」へ。彼女は、かれんな少女から姓で呼ぶべき一人前の騎手へと変貌を遂げました。短期間にそれほど実力をつけた。減量騎手でも2キロと1キロでは大きなギャップがある(2キロ減のように騎乗馬が伸びなくなる)のに藤田は1キロ減になってもそのギャップを感じさせない。最近は人気馬をしっかり上位に持ってこられるようになりました。これも実力です。

 先日、うちの厩舎と付き合いがある馬主さん主催の鍋パーティーがありました。その席で彼女は実にかいがいしく鍋作りをしていた。レースぶりからは想像できない女性らしい立ち居振る舞い。いつの間にか女子力も上がったと思います。

 新ルールによる減量が適用されれば騎乗依頼はさらに増える。今後デビューしてくる後輩のためにも女性ジョッキーのポジションを確立してほしい。

続きを表示

2019年2月26日のニュース