山田敬士、家族養う決意のムチ 新人騎手のムチ贈呈式

[ 2018年2月22日 05:30 ]

美浦トレセンにある馬の銅像の前ではばたく新規騎手の山田敬士
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 3月にデビューする新人騎手のムチ贈呈式が21日、東西トレセンで行われ、美浦では山田敬士(20=小桧山)、栗東では西村淳也(18=田所)、服部寿希(18=湯窪)の3人が各トレセン場長から新しいムチを受け取った。

 今年の新人で関東所属は山田のみ。「競馬学校やトレセンで学んだことを生かしたい」。氏名が刺しゅうされた革袋入りのムチを今井場長から手渡されると、改めて騎手になった喜びをかみしめた。

 ディープインパクトが引退勝利を飾った06年有馬記念を見て、騎手を志した。中学3年で競馬学校を受験するも不合格。それでも夢を追い、都立で唯一、馬術部がある都立農芸高に進学。同部で研さんを重ね、3回目の受験で合格した。都立を選んだのはお金をかけずに乗馬を学びたかったから。女手一つで兄弟3人を育て、自分を応援してくれる母の負担を少しでも減らしたかった。

 「技術を磨いて世界の騎手と戦えるようになりたい」。目を輝かせて将来像を語りながら、自分を支えてくれた母への恩返しも誓う。「自分がやりたいことを、やらせてくれた。寝ずに働いてくれた母が、ゆっくり眠れるような生活をさせてあげたい」。さらに今春は2人の弟がそれぞれ大学と高校に進学する。「学費の助けもしてあげたい」。長男として家族への強い思いを口にした。

 「毎回のレースを全力で乗り、初勝利に向けて頑張りたい。将来は目標とされるような騎手になれるよう、日々精進します」。子供の頃から抱いた夢は、プロとなったここからが本当のスタートだ。

 デビュー予定は3月3日の中山。今まで支えてくれた母を弟を、今度は自分が支えていく。(秋田 麻由子)

 ◆山田 敬士(やまだ・けいし)

 ☆生まれとサイズ 1997年(平9)9月18日生まれ、東京都出身の20歳。1メートル55、46キロ。

 ☆趣味と特技 趣味は映画観賞や温泉に入ること。料理が好きで、おいしい店探しをしたりと家庭的な一面も。特技はダンス。

 ☆尊敬する人 女手一つで一生懸命育ててくれた母親と師匠の小桧山師。

 ☆座右の銘 ゼネラル・エレクトリック社のCEOを務めた伝説のアメリカ人経営者ジャック・ウェルチの言葉で「Change before you have to(変革せよ。変革を迫られる前に)」。

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