【東京大賞典】リッキーG1最多11勝!圧逃3馬身差で有終V

[ 2017年12月30日 05:30 ]

3馬身差の圧勝で東京大賞典を制したコパノリッキー(左)
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 史上最強のダート馬だ。競馬の17年総決算「第63回東京大賞典」が29日、大井競馬場で行われ、ラストランのコパノリッキー(牡7=村山)が逃げ切って3馬身差の圧勝。ホッコータルマエの記録を抜き、史上最多となるG1・11勝目。有馬記念で劇的勝利したキタサンブラックに続き、自らの引退に花を添えるメモリアル走となった。

 オレンジ色に輝く夕日を背に、ビクトリーロードを力いっぱい駆け抜けた。リッキーの背には、オレンジ色の枠帽を被った田辺。愛馬を見守ったDr.コパこと小林祥晃オーナーも、同じ色のネクタイとシャツで気持ちを共に戦いに臨んでいた。初めてG1を勝った14年フェブラリーSも7枠13番。最低16番人気で勝利し、ファンの度肝を抜いた当時と同じ装いだ。

 運命が導くように同じ7枠13番で迎えたラストラン。発馬を決めると、内から競ってきたケイティブレイブを抑えてハナへ。田辺は「ケイティとのポジション争いがあってイメージ通りではなかったが、対応してくれた。自分のペースを守って最後まで衰えなく走ってくれた」と感謝。ライバルたちに影をも踏ませずゴール。逃げ馬の真骨頂を発揮し、集大成にふさわしい完勝劇だった。

 リッキーらしく、最後は逃げる。26日に行われた小林オーナー、村山師、田辺による銀座会談で腹は決まっていた。G1・11勝目につなげるため、批判を承知でJBCスプリントをカンフル剤として使った。その思惑が見事にハマり、チャンピオンズCで逃げ粘って3着。ここへ向けていい流れができた。「一番いい形で締められた」。フェブラリーSで自身に初G1をもたらしてくれた相棒と最後の仕事を終え、田辺は胸をなで下ろした。

 デビュー当初は「食べることしか考えていないような馬。それほど期待もしていなかった」と村山師。33戦16勝は立派な成績だが、冗談交じりに大井移籍の話が出たり、15年フェブラリーS連覇後には骨折が発覚と、決して順風満帆な競走馬生活ではなかった。“普通の馬”リッキーは磨かれて磨かれて、史上最強のダート馬になり、史上最多のG1・11勝を飾ったのだ。

 来年1月6日に京都競馬場で引退式を行い、その後は北海道日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入り。今年2月に死亡した父ゴールドアリュールの後継として期待される。小林オーナーも、所有馬でダートグレード5勝を挙げたラブミーチャンとの交配予定を明かした。最強遺伝子は子供たちに受け継がれ、3年後、また砂上に戻ってくる。

 ◆コパノリッキー 父ゴールドアリュール 母コパノニキータ(母の父ティンバーカントリー) 牡7歳 栗東・村山明厩舎 馬主・小林祥晃氏 生産者・北海道日高町のヤナガワ牧場 戦績33戦16勝(南関東13戦6勝) 総獲得賞金9億9514万4000円。

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