【チャンピオンズC】ドリーム復活 史上3頭目“統一砂王”

[ 2017年12月4日 05:30 ]

優勝したゴールドドリーム(左端)。左から2頭目は2着のテイエムジンソク
Photo By 共同

 G1ハンターが大一番で勝負強さを発揮した。師走の中京競馬場で開催されたJRAダート頂上決戦「第18回チャンピオンズC」は道中じっくり構えた8番人気ゴールドドリームが巨体を躍動させて直線強襲!前残りの展開をはね返して復活V。2月のフェブラリーS以来の勝利となり、史上3頭目の同一年JRAダートG1連覇を達成し、ダート界の統一チャンピオンの座に就いた。

 普段はおとなしいゴールドドリームが“俺が王者だ!”と言わんばかりに頭を振りながら、歓喜の検量室前に引き揚げてきた。史上3頭目となる同一年のフェブラリーS&チャンピオンズC制覇。古豪ひしめくダート界に4歳の統一王者が誕生だ。初騎乗で殊勲の手綱さばきを見せた名手ムーアも真っ先に力走の相棒を称えた。

 「聞いていた通り、スタートは速くなかったけど、彼なりに出てくれた。その後はリズムを大事に。直線で追いだした時の反応が凄く良かったし、とても能力がある馬。ダート馬はギアがゆっくりの馬が多いけど、この馬は切れる。彼の最大の武器ですよ」

 陣営からは「ほぼ出遅れる」との声すら出ていたゲートを、半馬身程度の遅れでクリア。これが最大の勝因だった。道中は中団後ろの内め。遅めの流れでも慌てず騒がず、ムーアは4角で外に出してからゴーサイン。ここからの脚が凄かった。前に行った3頭が2〜4着を占める前残りペースを、大外から豪快にまとめ差し。会見に臨んだ平田師は「もちろんうれしいけど、それよりもホッとした気持ちが大きいです」と第一声を上げた。

 フェブラリーS制覇後はドバイWCが14着。帰国後の2戦も7、5着と精彩を欠いた。特に前走の南部杯はゲートで暴れて大出遅れ。競馬にならなかった。そこで翌週から、馬をゲートにくくり付ける通称“縛り”を敢行。平田師は苦渋の決断だったと振り返る。

 「やっぱり、G1を勝った馬に厳しい練習をしたくはなかったんです。でもね…。初日は力んでいたが、2日目から駐立できるようになってきました」

 堀部助手、木下厩務員と共に汗水を垂らした一日30分×5日間の特訓が功を奏した。時を同じくして、“ゲート内でもっと人を頼るように”との意図で始めたプール調教では、弱点だった硬さが解消するという副産物も手にした。思い切ってプライドを捨てたことで、G1馬らしい輝きを一気に取り戻した。

 この後は連覇が懸かるフェブラリーS(2月18日、東京)への直行が有力。その結果次第で2年連続のドバイ遠征も選択肢に入っている。心身共にたくましさを増した新チャンピオンの夢は膨らむばかりだ。

 ◆ゴールドドリーム 父ゴールドアリュール 母モンヴェール(母の父フレンチデピュティ)牡4歳 栗東・平田厩舎所属 馬主・吉田勝己氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績13戦6勝 総獲得賞金3億213万4000円(戦績、賞金共に地方・海外含む)。

続きを表示

この記事のフォト

2017年12月4日のニュース