【菊花賞】ヴンシュ、ブルース再現だ 混戦で生きる長距離適性

[ 2017年10月18日 05:30 ]

長距離適性が強みのマイネルヴンシュ
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 今秋G1からスタートの新企画「激走馬 ロックオン」。スプリンターズSで指名のブリザードが5着、秋華賞リスグラシューは2着。いよいよ勝利の足音が近づいてきた。3冠ロード最終戦「第78回菊花賞」はダービー馬不在で混戦必至の情勢。スポニチ独自のデータ分析ではマイネルヴンシュが浮上。04年、淀のターフに響き渡ったブルースが、今年も聴こえるとの結論だ。

 【情勢】過去30年の菊花賞で1番人気は【10・4・4・12】。勝率33・3%、3着内率60%と高い数字を誇り「最も強い馬が勝つ」と言われるレースらしく、堅い決着が多いことが分かる。だが、今年は様相が違う。ダービー1着レイデオロ、2着スワーヴリチャード、3着アドミラブルが不在。さらに近10年で【4・1・1・3】と、出走すれば66・6%の高確率で馬券に絡む神戸新聞杯優勝馬も、レイデオロの勝利でダブル不在となっている。

 【高配】大混戦、荒れる予感――。いや、予感にとどまらない。過去のデータが高配当濃厚を示しているのだ。過去30年の菊花賞馬連平均配当(87〜90年は枠連)は8029円。ダービー馬不在の年は14回あり、同1万1392円。若干上がるが、これが神戸新聞杯馬とダブル不在となると、3回で同4万1723円と一気にはね上がる。

 【酷似】02年ヒシミラクル(10番人気、単勝3660円)、04年デルタブルース(8番人気、同4510円)、08年オウケンブルースリ(1番人気、同370円)。9年ぶりにダービー&神戸新聞杯馬ダブル不在の今年は過去の高配当の使者を改めて見直す必要がある。じっくりひもとくと、今年出走のマイネルヴンシュとデルタブルースに酷似している点が見つかった。(1)初勝利までに6戦 (2)最初の1000万挑戦は5着 (3)2度目の1000万出走の九十九里特別で3勝目を挙げ菊花賞へ (4)スタミナ豊富で長くいい脚を使える脚質、以上の4点だ。

 【適性】ブルースは古馬になってからステイヤーズS(3600メートル)、豪州G1メルボルンC(3200メートル)を制したように生粋のステイヤーだった。当時の菊花賞上位人気のハーツクライ、コスモバルク、ハイアーゲームが距離に不安があった中、舞台適性の高さでつかみ取った勝利だった。今年も上位人気が予想されるミッキースワロー、キセキ、アルアインは折り合いや距離の面で一抹の不安がある。

 【浮上】混戦でこそ一層生きる長距離適性。水野師が「絶対に引っ掛からない。距離が大丈夫なのは強み」と話し、2500メートルで勝利経験があるヴンシュはこの点においてメンバー最上位に立つ。しぶとく浮上する姿が見えてきた。

 ▼04年VTR ホッカイドウ競馬から参戦のコスモバルクが逃げ、当時は公営・兵庫の騎手だった岩田が騎乗したデルタブルースは好位5番手を追走。他馬に先んじて3コーナー過ぎに進出を開始すると、直線残り300メートルで先頭に立つとそのまま押し切った。スタミナをフルに生かす強気な競馬で戴冠。追い込んだホオキパウェーブが2着。1番人気ハーツクライは後方から7着に流れ込むのが精いっぱいだった。

 ≪栗東滞在で調整≫17日のマイネルヴンシュは馬体が増減しやすい体質を考慮して栗東トレセンに滞在して調整中。まだ環境には慣れていないようで「美浦にいるときよりもイライラしている。カイ食いにも影響している感じ」と渡辺助手。それでも2500メートルの前走(九十九里特別)を制したスタミナには自信ありの様子だ。「丹内くんも大知くん(柴田)も距離が延びるのは良いと言ってくれた。何とか本番までにリラックスしてくれれば」と祈っていた。

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2017年10月18日のニュース