【菊花賞】キセキ95点!メンタル安定の「静」不安材料なし

[ 2017年10月17日 05:30 ]

担当スタッフの引き手に素直に従う、穏やかな顔立ちのキセキ
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 キセキはミッキースワローとは真逆の顔立ちをしています。穏やかな耳の立て方。目、鼻の穴とともに一点に向けて、集中心を示している。担当スタッフの引き手に素直に従いながら、ポーズをとるようにスマートに立っています。

 私は引退後、時間を見つけて寺院巡りをしているのですが、両馬の姿を国宝指定の仏像にたとえるなら…。ミッキースワローは憤怒の形相で宝剣を握りしめた京都・東寺の持国天立像。キセキは穏やかな表情で両手を合わせた奈良・興福寺の阿修羅像となるでしょうか。精神状態がとても充実した立ち姿です。

 体つきには若さを感じます。必要十分な骨格ですが、全体に緩さが残っている。発展途上の3歳馬。古馬になれば、もっとたくましくなりそうです。ただし、体調はすこぶるいい。黒光りする毛ヅヤ。アバラが程良く見えていて、仕上がりにも非の打ちどころがありません。四肢の腱が浮き出て、脚元にも狂いはない。重箱の隅をつつけば、右前蹄の角度が少しきついぐらい。レースの不安材料にはなりません。各部位のつながりにゆとりがある体形。3000メートルも問題ないでしょう。

 ミッキースワローの浮沈の鍵が怒らせないように乗れるか…なら、こちらは若さに負担をかけないように乗れるか。M・デムーロ騎手の手腕が問われます。

 キセキになぞらえた興福寺の阿修羅像は3つの顔をもっています。先述した穏やかで喜びにあふれた表情は正面の顔。左側の顔はつらさ、右側の顔は悲しさをにじませている。競馬場に行っても正面の穏やかな表情を保てれば、重賞未勝利でも通用するはず。阿修羅像はまつられたお堂が焼失しながら奇跡的に保存されてきたそうです。そのため、「奇跡の仏像」と呼ばれています。

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2017年10月17日のニュース