【スプリンターズS】ファルクスV 別次元の末脚で3頭目連覇

[ 2017年10月2日 05:30 ]

スプリンターズSで連覇を達成したレッドファルクス(手前左)
Photo By スポニチ

 芦毛の快速王者はやはり強かった。秋のG1シリーズ開幕を告げる「第51回スプリンターズS」が1日、中山競馬場で行われ、1番人気レッドファルクスが昨年に続いてV。サクラバクシンオー(93、94年)、ロードカナロア(12、13年)に続き、史上3頭目のレース連覇を達成。競馬史に残る名馬に肩を並べ、名実共に「スプリント王」の称号を手に入れた。

 検量室前。目を潤ませてたたずむ尾関師の元へ、殊勲のレッドファルクスが引き揚げてくる。「先生、やったよ!!気持ちイイネ」。両手の拳を握り締め、馬から下りたミルコ・デムーロは、まるで子供のように尾関師に抱きつき、喜びを分かち合った。

 「追い切りの映像を見て、凄くいいなと。実際にパドックでまたがり、昨年と同じだと思った。これならやれる」。自信を持ってゲートインを迎えたミルコだったが、道中は薄氷を踏む思い。中団馬群の一列後ろで運び、直線残り200メートルを切っても後方から数えた方が早い位置にいた。「4角で(位置が)後ろ過ぎると思った。大丈夫かな…と」。半信半疑で追いだした鞍上に「大丈夫だよ」と言わんばかりに、坂を上り切ってからギアを上げたファルクス。逃げ粘るワンスインナムーンを、内から捉えたレッツゴードンキ。叩き合う2頭を尻目に、次元の違う末脚で、外からきっちり差し切った。

 「直線に入った時は、正直、届かないと思った。凄い馬ですね」。表彰式を終えた尾関師は、改めて連覇の喜びをかみ締めた。今春は1400メートルの京王杯SCを勝ち、マイルの安田記念でも3着に健闘。道中の反応が昨年よりも鈍い愛馬を追いながら「距離を延ばして使ったことが影響したか」。一瞬、後悔の念が頭をよぎったが杞憂(きゆう)だった。7月のCBC賞から直行した昨年よりも、1カ月長い休養期間だったが、馬体は前走から増減なし。「少し重くなるかと思っていたが、結果は同じ。スタッフもよく仕上げてくれたし、馬もレースを分かっているんでしょう」と称えた。

 高松宮記念では後塵(こうじん)を拝したセイウンコウセイに雪辱を果たしての連覇。正真正銘のスプリント王座に就いたが、尾関師は今後の目標を「今年取りこぼした高松宮記念を来年勝ちたい」とした。昨年、大敗した香港への再挑戦については「選択肢の一つとして、考えたい」と語るにとどめたが、ミルコは「昨年の香港は本調子ではなかった。今日の具合なら、どこに行っても大丈夫」と、リベンジに意欲をのぞかせた。

 安田記念の内容からマイル戦も視野に入る状況。尾関師は「昨年、獲れなかった最優秀短距離馬のタイトル(JRA賞)を獲らせてあげたい。そのためには、どのレースを選べばいいのかな」。群雄割拠から1強の時代へ。芦毛の王者は進むべき道を探る。

 ◆レッドファルクス 父スウェプトオーヴァーボード 母ベルモット(母の父サンデーサイレンス)牡6歳 美浦・尾関厩舎所属 馬主・東京ホースレーシング 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績23戦10勝(うち中央22戦10勝)総獲得賞金4億5915万円(うち中央4億5915万円)

続きを表示

この記事のフォト

2017年10月2日のニュース