【大井・帝王賞】“東北魂”ウマノジョー&山本聡哉が中央勢に挑む!

[ 2017年6月27日 06:30 ]

ウマノジョーに騎乗する岩手・山本聡哉(右)とプレティオラスに騎乗する高知・赤岡修次
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 90年代の競馬ブーム期の終焉以降、長らく不況にあえいでいた地方競馬に、近頃光明が見え始めた。「楽天競馬」「オッズパーク」「SPAT4」などの勝馬投票券のインターネット販売が功を奏したか、売り上げが目に見えて回復しているのだ。

 地方競馬の盛り上がりは、交流重賞などの大レースの開催日における数字に顕著に表れている。昨年の川崎・JBC競走と大井・東京大賞典当日はいずれも過去最高の売り上げを記録した。健闘しているのは南関東公営だけではない。高知競馬や園田競馬など、首都圏から遠く離れた競馬場の売り上げも改善されている。この2つの競馬場はナイター開催を行っており、それが奏功したとも言えようが、何より競馬ファンが楽しめる環境・番組作りに努めていることこそが、売り上げアップにつながっているのではなかろうか。

 岩手競馬も例外ではない。売り上げの回復に伴いレースの賞金も軒並み向上。秋の全国交流競走・ダービーグランプリの今年の1着賞金も、例年の800万円から1000万円に上昇した。まさに右肩上がりの状況と言える。

 そして最近目覚ましいのが“岩手出身馬”の活躍である。一時浦和に移籍したエンパイアペガサスが船橋・報知グランプリCを制覇し、岩手プロパーのベンテンコゾウが道営3歳クラシックの北斗盃と北海優駿を連勝。また、交流重賞で健闘を続けるラブバレットも存在感十分だ。先頃惜しまれつつ引退した古豪ナムラタイタンや、休養中の一昨年の岩手ダービー馬ロールボヌールを欠きながらも、岩手勢は全国各地で“東北魂”を見せつけている。

 先月24日の大井記念を制したウマノジョー(牡4=大井・渡辺和)も岩手出身馬。父ウイングアローが泣かせるこの馬の鞍上は、岩手のトップジョッキー・山本聡哉(29)だ。実兄の山本政聡(31)と地元で競い合う彼は、一昨年、昨年度とベテランの村上忍(40)を抑えて岩手リーディングを獲得した腕利きである。大井記念での落ち着き払った騎乗ぶりはお見事の一語。勝利ジョッキーインタビューでは愛馬ウマノジョーの成長ぶりを称賛していたが、彼自身の成長なくしては成し遂げられない勝利でもあった。

 そんな岩手と縁深いウマノジョーが交流G1帝王賞(6月28日、大井)に挑む。武豊が駆るアウォーディー(牡7=松永幹)や末脚自慢のサウンドトゥルー(セン7=高木)、ゴールドドリーム(牡4=平田)にアポロケンタッキー(牡5=山内)など、G1馬6頭を擁する中央勢。この豪華なメンバーに地方重賞1勝の身で相対するのは決して楽ではないが、岩手の名手を背に地方代表の意地を何とか見せたい。彼には交流重賞・ダイオライト記念3着の実績もある。ぜひとも馬券に絡むような活躍に期待したいところだ。99年には“岩手の軍神”メイセイオペラが覇を唱えた帝王賞。中央と地方の名馬たちが勝ち馬として名を刻んでいる帝王賞は、28日の20時05分に発走する。

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