【日本ダービー】アドミラ“常識破る”青葉賞ジンクスに挑戦

[ 2017年5月24日 05:30 ]

松若騎手を背に坂路で軽く調整するアドミラブル
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 第84回ダービー(28日、東京)は歴史に残る一戦になる!!「青葉賞V馬はダービーを勝てない」というジンクスに挑むアドミラブル(牡=音無)。常識破りのレース内容と時計でトライアルを制した超素質馬が、ダービー2勝のM・デムーロを背に、競馬界の常識を塗り替える。

 なぜだ?その理由は不明だが、ダービーと同舞台のトライアル青葉賞の勝ち馬がダービーで勝てない。青葉賞で2分23秒6のレースレコードを叩き出す勝ちっぷりで、ダービー1番人気になりそうなアドミラブルにもつきまとうジンクスだ。

 勝てない理由として考えられるのが「反動」。東京芝2400メートルを勝ち、中3週で同じ舞台に臨むスケジュールがきついのでは…。ところが、音無師は意に介さない。

 「中3週のローテがどうの、東京への再輸送がどうのと言われるが、全く気にしない。むしろ中3週のローテの方が仕上げる方は楽だ」

 発言の裏には指揮官の深慮遠謀がある。この馬は、青葉賞→ダービーを制するべく、ローテーションを組まれている。

 師が経緯を振り返る。アドミラブルは14年3月23日、北海道安平町のノーザンファームで誕生した。当時の印象について「オーナー(近藤英子氏)に言われ、生まれてすぐ牧場に見に行った。本当に素晴らしい馬。みんなが褒めて“これは凄い馬になる”と。牧場関係者の誰もがそう思っていたんじゃないかな」と生まれながら別格の輝きを感じたと語る。ただ、将来を嘱望された好素材は順風満帆にいかなかった。喘鳴症(ぜんめいしょう=喉鳴り)だ。

 「育成に上がってから喉が怪しくなった。喘鳴症には5段階あって、1や2の段階では手術しなくていい。新馬戦の前は2だったが、レース後は3に上がった。それで手術に踏み切った」

 9着に敗れた昨年9月の新馬戦後に手術。術後の復帰戦は3月5日。ダービーをにらむのは厳しい日程。しかし、この未勝利戦で音無師はダービーを強く意識する。阪神の芝1800メートルを1分45秒8の猛時計で圧勝。次元が違う強さ。

 「今考えてもあの競馬は凄いと思う。休み明けをあの時計で勝つのだから、普通の馬ではない。オーナーと相談して(ダービーまでの)ローテーションを決めた」。アザレア賞、青葉賞、そしてダービー。計算通りで「中3週は仕上げるのが楽」。

 “ジンクス破り”は、いわば予定の行動なのだ。競馬界の歴史を塗り替えるのはアドミラブルしかいない。

 ◆喘鳴症(ぜんめいしょう) 喉頭部の神経がまひし、喉頭口が狭まり、呼吸をするたびに「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」と狭窄(きょうさく)音を発することから、通称「喉鳴り」と呼ばれる。症状が悪化した場合は手術が施され、競走馬医療が進歩した最近では7割以上が完治するといわれる。04年皐月賞を制したダイワメジャーも発症したが、手術でほぼ完治。その後、天皇賞・秋、マイルCS、安田記念などを制した。

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