【日本ダービー】菊沢師 刺客キャグニーで98年“再現”だ!

[ 2017年5月23日 05:30 ]

アエロリットで厩舎初G1制覇を飾った勢い十分にダイワキャグニーでダービーに臨む菊沢師
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 ノってる厩舎に乗れ!「第84回日本ダービー」にダイワキャグニーを送り込む菊沢厩舎は、7日NHKマイルCのアエロリットでG1初制覇を飾ったばかり。勢い十分に厩舎初のダービーに臨む。菊沢師は騎手時代に唯一経験した98年ダービーで15番人気のダイワスペリアーで3着に好走。同じ「ダイワ」とのタッグで再度の激走を狙う。また、キャグニーの生産牧場・社台ファーム(北海道千歳市)を訪れ、育成時代の様子を聞いた。

 菊沢厩舎の調教師部屋にはお祝いの胡蝶蘭(こちょうらん)がズラリと飾られている。オーナーら関係者から贈られたものだ。4月22日の福島牝馬S(G3)をウキヨノカゼで制すと、7日のNHKマイルCのアエロリットでG1初制覇。「花を買いに来たの?」とおどける菊沢師。大一番に向け、厩舎全体が活気に満ちている。

 ダイワキャグニーを所有する大城敬三氏とは騎手時代からの縁がある。騎手としてJRA通算639勝、重賞10勝を挙げた師だがダービー騎乗は1回だけ。98年、同じ大城氏のダイワスペリアー(名義は大和商事)で大一番に臨んだ。勝ったスペシャルウィークには離されたが、直線の追い比べで皐月賞馬セイウンスカイを鼻差とらえて3着。「セイウンを何とかかわそうと必死に追った。当時の僕の技術ではあれが精いっぱいだったと思う」と謙遜するが、単勝182・6倍の超伏兵での3着は立派。「3連単があったら凄かったよね」と笑う。

 大城氏はダイワメジャー(04年皐月賞などG1・5勝)、ダイワスカーレット(08年有馬記念などG1・4勝)など多くの名馬を所有してきたが、ダービーは未勝利。師は「競馬に凄く情熱を持たれている方。ダービーだけは勝っていないし、僕もジョッキー(北村宏)も勝っていない。頑張りたいよね」と意気込む。

 キャグニーは15年セレクトセール1歳セリで1億1340万円(税込み)の高値で落札された馬。デビュー前から期待は大きかった。ここまで4戦3勝。唯一の右回りだった弥生賞(9着)は本来の走りができなかったが、東京では3戦全勝。ダービートライアルのプリンシパルSも2馬身半差の快勝でダービー切符を獲得した。他に東京で2勝している馬もいない今年のメンバー。コース実績は最上位だ。

 師が「人間でも右利きと左利きがいるでしょ。現状では左回りで広い東京コースがいい」と話す“サウスポー”。スペリアーと同じくプリンシパルSからの参戦というのも不気味だ。「騎手時代のような気負いはない」と自然体で臨む自身2度目のダービーが、生涯忘れられぬ一戦となるかもしれない。

 ◆菊沢 隆徳(きくざわ・たかのり)1970年(昭45)2月10日生まれ、千葉県出身の47歳。騎手としてJRA通算9478戦639勝。00年日経賞(レオリュウホウ=単勝193・9倍)など重賞10勝のうち8勝を7番人気以下でマーク。ダイワメジャー(G1・5勝)にはデビューから4戦で騎乗した。11年に開業しJRA通算1571戦113勝(重賞5勝)。JRA騎手の横山典弘は義兄、長男・一樹もJRA騎手。

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2017年5月23日のニュース