【NHKマイルC】実を結んだ義兄弟の絆…アエロリットがV

[ 2017年5月8日 05:30 ]

<東京11R・NHKマイルC>レースを制したアエロリット騎乗・横山典はガッツポーズ
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 義兄弟がもぎ取ったG1勝利!「第22回NHKマイルC」が7日に東京競馬場で行われ、2番人気アエロリットが好位から鋭く抜け出した。昨年のメジャーエンブレムに続く牝馬のVで、管理する菊沢隆徳師(47)は騎乗した横山典弘(49)の義理の弟。2人で手を取り合って手掛けてきた愛馬が、師に初G1をプレゼントした。なお同馬は父クロフネとの父子制覇を成し遂げ、1勝馬としても同レース初勝利を飾った。

 大仕事を成し遂げたアエロリットが検量室前に戻ってくる。背には満面の笑みを浮かべた横山典。菊沢師にとってその光景は、単なるG1初制覇のものではなかった。「自分は典さんに乗ってもらえるような強い馬を育てたくて調教師を目指した。夢みたいで実感がないです」

 一頭だけ先にゲートが開いたようなロケットスタート。出遅れた桜花賞(5着)からきっちり修正した。道中は内の馬を行かせ、2番手の外を追走。絶好のポジションで運んでいても名手・横山典は冷静だった。「開催が進んでいないのに内がボコボコしていたので、外をノビノビ走らせたかった」。直線でも内へ入れることなく、馬場の中央を突進。内で逃げ粘るボンセルヴィーソを楽にかわし、迫るリエノテソーロを振り切る。得意の左回りでゴールまで伸び続けた。

 横山典は「今日は返し馬から凄く良かったので、小細工なしで。時計は速かったけどそれでいて速く感じないのが凄い」と絶賛した。15年クラリティスカイに続くNHKマイルC3勝目。それでも「菊沢は義理の弟だから今日は勝ちたかった。最高の仕上げを施してくれた」と手柄を譲った。

 菊沢師の妻・桂子さんは横山典の実妹で、師が騎手だった時代から続く2人の絆は強い。「騎手の頃からお世話になっていた。典さんにはかなわないといつも思っていた」。調教師と騎手という関係になり、2人で大レースを勝ちたいという思いは強まる。そこに現れたアエロリット。デビュー前から素質は光り、師が調教を付け、横山典は乗り運動もこなした。「典さんが競馬を教えてここまで来た。一緒にやってきたこの馬で勝てたことがうれしい」と声を震わせて喜んだ。

 今後は休養に入り、オークスには向かわない予定。「具体的な次走は未定ですが、抜け出すとフワフワするらしいので距離的な可能性は広がっている」と師はマイルからの延長も視野に。鞍上も「俺にしか分からないまだ良くなる部分がある」とさらなる進化を思い描く。2人の絆でアエロリットはまだまだ強くなる。

 ◆アエロリット 父クロフネ 母アステリックス(母の父ネオユニヴァース)牝3歳 美浦・菊沢厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績6戦2勝 総獲得賞金1億4743万8000円。

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