【皐月賞】亡き祖父にささげる初G1…松山&アルアイン1冠奪取

[ 2017年4月17日 05:30 ]

<中山11R・皐月賞>アルアインでレースを制した松山(中央)と池江師はクラシック1冠目のポーズ
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 やはり、クラシックは池江厩舎。「第77回皐月賞」は、同厩舎の9番人気アルアインと4番人気ペルシアンナイトがワンツーを決めた。アルアインを導いた松山弘平(27)は、平成生まれのJRA所属騎手で初のG1ジョッキーに。騎手になるきっかけをつくってくれた天国の祖父へ勝利をささげた。また、3着ダンビュライト、4着クリンチャーまでが、ダービー(5月28日、東京)への優先出走権を獲得した。

 目を真っ赤にした松山は、アルアインの馬上で何度も天を指さした。「競馬好きだった祖父がきっかけで騎手になった。小6の時に亡くなったんですけど、G1を勝った報告をしたかった。今日は力を貸してくれた気がします」。青空が広がった中山競馬場。栄光の瞬間は、天からもくっきりと見えたはずだ。

 いきなり外枠のスピード自慢たちが飛び出したレース。テンから意欲的なラップを刻み、前半5Fの通過タイムは59秒0。アルアインは果敢に好位の3、4番手を追走する。松山は「スタートが良かった。自在性があって折り合いにも不安がない馬なので好位で流れに乗りたいと思っていた」と振り返った。

 暗雲が立ち込めたのは3角すぎ。不意に後退し、マークしていた1番人気ファンディーナとの差が開いた。「馬場が悪くなっていたので脚を取られた。でも、それが逆に良かったのかもしれない」(松山)。一段、位置を下げて迎えた直線。先に抜け出した僚馬ペルシアンナイトを目標に、鞍上が必死の追いだしをかける。まだ残っていた脚。無我夢中で首差捉えた瞬間がゴールだった。

 池江師は「うれしいですね。直線はペルシアン(2着)ばかり見ていたから、何か来たなと思ったらアルアインだった。勝因は(3角すぎでの)死んだふり作戦」と、11年オルフェーヴル以来の皐月賞Vを喜んだ。表彰式が終わり、冷静を取り戻した様子だったのは松山。「直線は本当にいい脚で伸びてくれた。馬は頑張りましたけど、人間がいっぱいいっぱいで外にヨレてしまった。悔いが残ります」と反省(斜行で過怠金5万円)を忘れなかった。

 Vタイムの1分57秒8は、昨年の記録を0秒1更新するレースレコード(コースタイ)。高速馬場だったとはいえ幾多の名馬を手掛けた池江師も舌を巻く成長力だ。「どこかでマイルが適距離という固定概念があった。毎日杯でそれを打ち破ってくれる馬だと感じました」。518キロでの優勝は04年ダイワメジャー(528キロ)に次ぐ史上2番目。その雄大な体には計り知れない可能性が秘められている。

 当然、次に見据えるのは2冠目のダービー。松山は「乗りやすい馬だし、距離が延びても大丈夫。これからも一緒に頑張っていきたい」と意気込む。「いつもゲート裏で祖父に“力を貸してくれ”と祈っているんです」。38回目の挑戦でやっとつかんだG1トロフィー。一つたくましくなった“おじいちゃん子”は、アルアインとクラシックを戦い抜く。

 ◆アルアイン 父ディープインパクト 母ドバイマジェスティ(母の父エッセンスオブドバイ)牡3歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績5戦4勝 総獲得賞金1億8273万4000円。

 ◆松山 弘平(まつやま・こうへい)1990年(平2)3月1日生まれ、兵庫県出身の27歳。1メートル67、51キロ、血液型B。09年3月、1日の小倉1Rトミケンプライマリで初騎乗初勝利。JRA通算425勝。重賞7勝。

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