【皐月賞】ファンディーナ、69年ぶり牝馬Vへアクセル全開

[ 2017年4月13日 05:30 ]

満開の桜並木をバックに、坂路を併せ馬で追い切られるファンディーナ(左)
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 69年ぶりの牝馬戴冠へ――。牡馬クラシック第1弾「第77回皐月賞」の追い切りが12日に東西トレセンで行われ、ファンディーナが坂路で歴史的快挙をイメージさせる動きを披露した。この中間はソフト調整でコンディション維持を重視。岩田に名牝ジェンティルドンナを連想させる才能。その器が試される一戦となる。同レースは13日に出走馬、枠順が確定する。

 取材陣、そして自らに言い聞かせるように高野師は繰り返した。「この子は牝馬なんで」。先人に学ぼうにも牝馬による皐月賞制覇は、はるか69年も前(ヒデヒカリ)。「牡馬ならバリバリ食べるし、ハードな調教もこなせるんだけど…」。だが、坂路で行われたファンディーナの最終追い。師の不安とは対照的な圧巻の動きだった。

 まずは軽く1本(4F77秒4)を駆け上がると、インヘリットデール(3歳未勝利)を前に置いた2本目が本番。序盤をゆったりと入ると、牡馬顔負けのストライドでピッチを上げていく。手応えは馬なりでも、走りには鬼気迫るものがある。ラスト1Fで3馬身突き抜けると、たまらずラチ沿いへよれる僚馬。栗東坂路に強烈な風が吹き上げた。

 前日の雨に加え、入れ替えられたウッドチップ。時計は4F54秒5〜1F13秒1でも、「今日の坂路は時計が出る状態じゃなかったんで」と師。「先行馬の後ろで折り合いを確認しながら無理のないように。年明けから3回使っているのでもう十分に仕上がっている」と安心したような表情で振り返った。

 とにかくコンディション維持に努めた中間。デビュー3連勝を決めたフラワーCから中2週となる桜花賞を避け、それまでの“中3週のルーティン”を貫いた。「牝馬だし回復に充てられるこの1週分が凄く大きい。中間も能力アップを目指すのではなく調子をキープするだけ。後はこのまま本番に向かってほしい」

 3戦で後続につけた着差は“計15馬身3/4”。先行しながらラスト3Fのタイムが全てメンバー最速とその能力は計り知れない。牝馬3冠、G1・7勝のジェンティルドンナを知る岩田も「似たような背中をしている。スピード、パワー、名牝になる器だと思う」と賛辞を惜しまない。上積みこそないかもしれないが、繊細な牝馬を“男の戦場”に送り出す態勢は整えた。「まだ能力だけで勝っている。ここでどこまで通用するか」(高野師)。むき出しの才能が歴史に挑む。

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