3日引退“追い込みの金子”ラスト6鞍で十二分に目立つ騎乗を

[ 2017年3月3日 05:30 ]

3日でムチを置く名手・金子
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 【地方競馬です!!】3日で金子正彦騎手(54=川崎・山田正)が引退。38年の騎手生活最終日は6鞍に騎乗する。「ありがたい。最後まで気を引き締めて勝ちにこだわりたい」と話した。引退前日は“いよいよ”という感慨があるかと思いきや「期待して乗せてくれてるから、どうにかしたいと1頭1頭に神経を凄く使う。大変なんだ。(競馬を終えて)早く落ち着きたいね」。冗談交じりにそう言って笑った。

 “追い込みの金子”とファンから親しまれ、豪快な直線一気で異彩を放った。サイレントスタメンで大外から11頭をゴボウ抜きにした09年東京ダービーは、まさにその真骨頂。「周りが止まって見えた」という鮮烈な差し切り勝ちだった。だが、記者は本人も「めったにない」という逃げの騎乗も好きだ。テッペントッタルで逃げ切った13年の川崎ジョッキーズC。ガクガクしてると言うとしかられるかもしれないが、トレードマークの猫背で、馬上で独特のリズムを刻んでいた。実は重賞11勝の内、05年桜花賞(ミライ)など5勝が逃げ切り勝ちだった。騎乗馬の持つ脚力を何とか出し切りたい。そういうレースを積み重ねて熟練の技ともいえる金子流の“タメ”が生まれたのではないだろうか。その“タメ”は追い込む競馬でより生きた。

 「目立たないけど幸せな騎手生活だった」。いや、ファンにとっては十二分に個性派の騎手だった。最後まで目立って、皆の記憶に焼き付けていってください。(秋田 麻由子)

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2017年3月3日のニュース