長浜師 定年引退ラストウイークでも自然体「実感はない」

[ 2017年2月22日 05:30 ]

今月で定年を迎える長浜師
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 競馬界にとって、2月は別れの季節――。定年引退となる栗東の長浜博之師(70)ら4人の調教師は、今週がラストウイーク。アグネスフローラ、アグネスフライト、アグネスタキオンなどクラシックホースを育て上げた名伯楽が、約30年間の調教師人生にピリオドを打つ。

 幾多の名馬を育て上げた長浜師は、ラストウイークを迎えても自然体だ。21日朝、坂路監視塔の3Fで双眼鏡越しに愛馬の動きをチェック。70歳のトレーナーは「引退?全然実感はない。今週使う馬が無事に競馬で走ってくれたら。それだけやね」と頬を緩めた。

 88年に他界した父・彦三郎師の厩舎を引き継いで開業。父が管理していた名牝アグネスレディー(79年オークス優勝)の血脈も受け継ぎ、一時代を築くことになった。「親父の頃からの血統。縁というか運も良かったんだろうね。いろんな人の協力がないと馬も入ってこないし、勝てないから」と感慨深げに振り返る。

 90年桜花賞、レディーの子アグネスフローラで初めてG1制覇。そのフローラがG1馬のアグネスフライト(00年ダービー)とアグネスタキオン(01年皐月賞)を生み、師を名トレーナーの座へと押し上げた。

 00年ダービー優勝は厩舎の主戦だった河内(現調教師)が初めてダービージョッキーに輝いた瞬間でもあった。「あの時は“最後のチャンスになるかもしれない。好きなように乗ってこい”と声を掛けた。“河内君のダービー”かなと思っていたから」と指揮官。

 約30年間の調教師人生で、クラシックのタイトルを何度も手にしたが「未勝利でも新馬でも、何でも勝つのは喜ばしいこと」と目の前のレースに全力投球で挑んだ。引退後については「実感がないから。それ以降、どうするかは考えても考えつかないな」と笑った。

 ラストウイークは日曜阪神のすみれSに出走するレイトブルーマーなど5頭が出走予定。「入れば土日は小倉に行くかな。阪神に行けば、調教助手が小倉に臨場しないといけない。朝の調教が終わってから、移動するのは忙しいからな」と最後まで調教師としての仕事をやり遂げる覚悟だ。一時代を築いた名トレーナーがまた一人、競馬界を去る。

 ◆長浜 博之(ながはま・ひろゆき)1946年(昭21)9月19日、滋賀県出身の70歳。父の故・彦三郎師の下で経験を積み、88年に調教師免許を取得。同年8月に開業した。冠名「アグネス」の故渡辺孝男オーナー&河内洋との“トリオ”で活躍馬を出し、90年桜花賞のアグネスフローラでG1初制覇。00年にはアグネスフライトでダービーを制した。JRA通算5355戦523勝(うちG1・7勝、重賞34勝、21日現在)。

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