藤沢和厩舎3本の破魔矢 飛ぶトリ落とす勢いでクラシック射止める!

[ 2017年1月1日 05:30 ]

藤沢和雄調教師
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 フジサワ・イヤーの幕開けだ。17年クラシックを射止めるのは藤沢和雄厩舎が放つ3本の破魔矢。3戦無敗で阪神JFを制したソウルスターリングが牝馬戦線を独走すれば、3連勝で朝日杯FS優勝のサトノアレスとホープフルSまで3戦全勝のレイデオロは牡馬戦線の双璧をなす。今年の干支「酉(とり)」にまつわることわざ、慣用句を用いて3頭の春を占ってみた。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのクラシック候補3頭はそれぞれの放牧先で17年最初の鶏鳴を聞いた。ソウルスターリングは山元トレセン(宮城県)、サトノアレスはミホ分場(茨城県)、レイデオロはノーザンファーム天栄(福島県)。「みんな牧場で元気に年越しだっていうし、1月いっぱい英気を養って、2月に厩舎へ戻ってくる。春もまた頑張ってもらいますよ」。藤沢和師は各牧場からの雁(かり)の使いをうれしそうに口にする。

 梅に鶯(うぐいす)、竹に雀(すずめ)。鶴は枯れ木をすくわずというが、気性優先の藤沢和流調教で仕上げられ、阪神JFを見せムチだけで抜け出したソウルスターリングはまさに鶏群の一鶴(いっかく)。師は「持って生まれた資質だろうね。健康で早くにデビューできたし、フットワークが素晴らしい。気がいいから放っておいても自分から走っちゃう」と語る。英G1・10戦全勝のフランケルと仏米G1・6勝の名牝スタセリタの間から生まれた16冠の血統。「父親はガリレオ産駒の中で桁違いのスピード。母親は社台で見たけど、ソウルそっくり。競走馬時代はモンズーン産駒でも軽い走りをしていた」。父子鷹とも母子鷹とも思えるのだ。

 「阪神JFではマイルが上手過ぎてガッカリした(笑い)」。鶏鳴きて夜深し。昨秋、素質を感じて牡馬クラシックにも登録したが、非凡なマイル適性を示した結果、桜花賞へ。正鵠(こく)を射る決定だろう。「使ってガクッとくるかと思ったが、山元に戻っても元気。阪神を2往復しても大丈夫」。チューリップ賞(3月4日、阪神)から無敗街道を進んでいく。

 サトノアレスはディープインパクト産駒らしい切れと、産駒とは思えない丈夫さを兼備している。「ディープの子が2歳のうちからこれほど調教を積めて、レースにも使い込めるなんてあり得ない。食欲も旺盛。ソウルのカイバにまで手を出しかねない」(笑い)。霞(かすみ)に千鳥、雪中の時鳥(ほととぎす)だ。「ゆったり走れる穏やかな気性。2000メートルに延びてもこなせるだろうと四位君が言っていた」。

 誰か烏(からす)の雌雄を知らんや。皐月賞で同門対決となるレイデオロにも「おばあちゃん(レディブロンド)みたいな高いテンションでやる気満々。ゴールを過ぎても余裕だもの。2000メートル超でも期待させてくれる」。皐月賞はアレス、ダービーはレイデオロか。ともあれ、烏兎匆匆(うとそうそう)70歳定年まで残り4年。鶴の脛(はぎ)も切らない名伯楽の夕暮れに集った3頭が酉年の主役だ。

※鶏鳴=夜明けを告げる鳥の鳴き声。雁の使い=便り。

梅に鶯、竹に雀=似合って調和すること。

鶴は枯れ木をすくわず=逸材は悪い環境を避け、才能を伸ばしてくれる所属先で育つ。

鶏群の一鶴=大勢の中で唯一抜きんでた存在。父子鷹=優れた父と子。

鶏鳴きて夜深し=冒険の成否が見通せない段階。正鵠を射る=的を射た適切な判断。

霞に千鳥、雪中の時鳥=あり得ないことのたとえ。

誰か烏の雌雄を知らんや=優劣の判定が難しいこと。烏兎匆匆=月日の流れるのが早いこと。

鶴の脛も切らない=個性を無視していたずらに手を加えない。

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2017年1月1日のニュース