【凱旋門賞】マカヒキ悔しい14着 友道師「世界は強いです」

[ 2016年10月3日 05:30 ]

<凱旋門賞>14着に敗れたマカヒキを出迎える友道師(左)

 スタッフの全精力を注いでも、世界の頂点には届かなかった――。凱旋門賞で14着に完敗したマカヒキ。管理する友道康夫師(53)も世界との差を痛感した。師によるとマカヒキの今後は未定。だが、この海外遠征の経験をバネに来年、再来年へと思いを抱いていた。

 究極の仕上げで挑むことができた。全幅の信頼を置くルメール、そして大江助手をはじめ小林師、日本から駆け付けた獣医や装蹄師などのスタッフ、誰もが全力を尽くした。だからこそ、14着という結果を素直に受け入れ、友道師はすがすがしい表情で報道陣の前に姿を見せた。

 「馬の気配は今までで一番でした。いい競馬ができると思ったけど、4コーナーでスタミナが切れたみたい。外枠で出していった分、若干掛かったと思うけど、敗因はそれだけではないでしょう。初めての中2週が影響したのか、ニエル賞よりも馬場が緩くなったのが影響したのかもしれません」

 言葉にすれば簡単だが、全てが手探りで始まった。滞在先の手配、現地に持って行くもの。そんな時に道を照らしてくれたのは偉大な先駆者、そしてスタッフだった。助手時代、共に松田国厩舎を支えた角居師は輸送のノウハウを授けてくれた。追い切りの併走パートナー・マイフリヴァの鞍上に名手ジャルネが駆け付けたのは、ルメールの人脈によるもの。また、担当の大江助手にはシャンティイで約3カ月の修業経験があった。初心者では使いこなすことが難しい、広大なシャンティイ調教場を拠点とした充実の44日間は大江助手、そして滞在先となった小林厩舎のサポートなしではなし得なかった。

 「追い切りの日にちやコースはルメールの意見を重視したし、細かいところでは僕が滞在したウイークリーマンションもルメールが予約してくれた。そして、小林君の力が本当に大きかったですね。厩舎には日本人も多くいて、まるで栗東にいるような雰囲気で過ごすことができました」

 友道師は感謝の言葉を口にするが、それだけのサポートを受けることができたのは指揮官の温厚、そして実直な人柄によるところが大きい。出しゃばらず、任せるところは任せて、最後の責任だけは自分が取る。振り返れば35年前、馬との出合いは「大学の入学式の時、馬術部の勧誘に強引に引きずり込まれたから」だった。あの時、断っていれば競馬と出合うことはなかった。そして、今日の晴れ舞台もなかった。いかにもこの人らしい人生の転機である。

 偶然からスタートしたホースマン人生、世界一の表彰台には届かなかったが、「世界は強いです。来年、来られるか分からないが、この経験は生きると思う」と未来を見据え前を向いた。

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2016年10月3日のニュース