【札幌2歳S】反撃のトラスト 南関の大物が馬体戻って落ち着き一変

[ 2016年8月31日 05:30 ]

馬体も戻り復調をアピールしたトラスト

 公営南関東・川崎の大物がJRA重賞奪取だ。「第51回札幌2歳S」(9月3日、札幌)に出走するトラストが復調をアピールした。1番人気に支持された中央初戦のクローバー賞では2着に敗れたが、巻き返しへ万全の臨戦態勢。01年ヤマノブリザード、03年モエレエスポワール(いずれも道営)以来3頭目となる地方所属の札幌2歳チャンプ誕生へ期待が高まる。

【札幌2歳S】

 地方馬調教ゼッケン「1」を着けた芦毛がわずか10日前とは別馬のように落ち着き払ったフットワークで躍動する。「前走(クローバー賞)の直前調教では凄くうるさかったのに…。全然違いますね」。トラストの調教を担当する丹内の手綱に伝わったのは一変ぶり。馬房前の洗い場に戻ると、朝カイバを催促して何度もいなないた。「よしよし、すぐにあげるから待ってくれよ」。カイバを準備する須山厩務員に代わって河津師がタテガミをブラッシングしながら声を掛ける。

 「前走時はいななく元気さえなかったんです。レース週の長距離輸送と環境の変化に緊張し、気負って凄い発汗。体重も一時は20キロ減った」と明かす同師。「でも、今度は体がフックラして、顔つきも穏やかでしょう?本来の姿に戻りました」と満足そうに続けた。

 公営・川崎でデビュー2戦とも圧逃V。地方所属のコスモバルク(04年弥生賞など)、プレイアンドリアル(14年京成杯)でJRA重賞タイトルをつかんだ岡田繁幸オーナーが再び中央重賞に挑ませる秘蔵っ子だ。「この凄く柔らかい走りは芝でこそ本領を発揮する。本当に強くなる馬は体がグニャッとしているくらいでいい」(同オーナー)。来年6月の英国ダービーにも登録を済ませたほど期待の大きな芦毛だが、中央初戦の前走は気負い過ぎて万事休す。大外枠で発馬直後に外へ逃げ、道中はスローペースに口を割って中団で引っ掛かった。3、4角と直線では初の右回りに戸惑ってモタれてヨレて…。それでも、ゴール前で差を詰めて2着。

 「悪い面が全て出てしまったが、芝適性があることは分かりました。今度は抑え込まずにリズム良く走らせたいです」と河津師は言う。プレイアンドリアルを朝日杯FS7着から立て直して京成杯Vに導いた敏腕トレーナー。「よし、カイバだぞ」。ヒヒーン。師の前で上げた大きないななきが反転攻勢の合図だ。

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2016年8月31日のニュース