【ここに名手あり・佐藤友則】中央挑戦が生きがい!17年目笠松の雄

[ 2016年8月30日 05:30 ]

「チャレンジしなければ何も変わらない」と語る佐藤

 追って、追って一つでも上の着順を――。デビュー17年目の笠松競馬・佐藤友則(34)は、ハングリー精神の塊のような男だ。00年シリウスS(ラッシュスルー・10着)での初遠征以降、毎年JRAでの乗り鞍を増やし昨年は77鞍、今年はこれまで126鞍と活躍の場を広げてきた。競馬ファンの間でも徐々に“笠松の佐藤友則”の名が浸透しつつある。

 「地方騎手が求められるのは結果。とにかく全力を尽くし最低でも掲示板という気持ちで乗っています」

 “無名”の地方騎手が中央で乗り鞍を確保することは難しい。そのため佐藤は休日を返上し名張ホースランドパーク(三重県)や、ノーザンファームしがらき(滋賀県)など牧場へ赴き自ら売り込んでチャンスをつかんできた。「名張で(JRAの)西村先生にお会いして、所属馬の調教を手伝わせていただいた」。それが縁となり、同トレーナーのJRA初勝利(サンフレイム)にも貢献した。

 順風満帆の騎手生活に思えるが、実は一度だけ引退を考えたことがある。「成績が伸び悩んだ5年前に騎手を辞めて(競馬学校の)教官になろうと思った」。そんな腐りかけた心にもう一度火を付けてくれたのが、笠松の“看板娘”トウホクビジンだ。

 全国の競馬場を股に掛け積み重ねた戦歴は121。ビッグタイトルには手が届かなかったが奮闘。どんなに強い相手でも諦めずに走り続けるひたむきな姿に自分自身を重ねた。

 大舞台への挑戦は諦めていない。06年に一度挑戦(一次試験で不合格)したJRA騎手免許試験を今年再受験する。「ジョッキーである限り大きなステージで戦いたい。チャレンジしなければ何も変わらないので」。笠松競馬からは過去に安藤勝己元騎手や柴山雄一騎手らが出ている。偉大な背中を追って、佐藤友則はムチを手に今日も全国を飛び回る。 

 ◆佐藤 友則(さとう・とものり)1982年(昭57)3月23日生まれの34歳。岐阜県出身。00年4月3日笠松競馬場でデビュー。同年7月14日ジーナで初勝利。地方通算9447戦1111勝、JRA通算267戦6勝(29日現在)。1メートル63、51キロ。血液型AB。

続きを表示

2016年8月30日のニュース