【桐生・メモリアル】菊地下克上V!繰り上がり出場から5度目SG制覇

[ 2016年8月29日 05:30 ]

優勝した菊地(中央)は優勝カップを手に笑顔

 ボートレース桐生のSG「第62回ボートレースメモリアル」は28日、12Rで優勝戦が行われ2号艇の菊地孝平(38=静岡)が優勝した。1周2Mで執念の差しを繰り出し1号艇の石野貴之(34=大阪)を逆転。予備3位の繰り上がり出場から14年の浜名湖グランドチャンピオン以来通算5回目のSG制覇を飾った。獲得賞金順位は8000万円を突破しトップに躍り出た。

 「展示でこれはいいと思った。後悔したくないので思うように調整したのが良かった。後はどれだけうまく差せるか…」。パワーを信頼し繰り出した強烈な1コーナーは「最高のターンだった」と、自他共に認めるハイレベルな差しだった。狙い通り道中戦に持ち込んだ菊地は「出足は自分、伸びは石野君。それを計算に入れて走った」と、どこで勝負を懸けるかをじっと我慢し2周1Mで完全に突き放した。それは磨き抜かれた技と天性の勘を駆使した名勝負となった。

 SG連覇もあった14年のブレークから一転、低迷が続いた近況。昨夜偶然つけた24時間テレビでの本田圭佑の言葉が背中を押した。「ヘタなのだから失敗は怖くない。そんな内容だった」と、記憶を手繰った。

 菊地は予備3位。本当ならば出られなかった大会だったがオーシャンカップで田中信一郎、峰竜太がフライング、そして石野の優勝でチャンスが巡ってきた。「本当なら出られなかった大会。こういう出場の仕方は初めて。いつもは気持ちばかりでミスが多かった。万が一、優勝できたら最高の下克上になるかなと思って」と、気持ちを切り替えた。そして「優勝戦に群馬支部の選手がいなかったので自分が地元の気持ちで走った。桐生から予備3位でも選んでもらってなければ乗れてなかったからね」。この優勝は桐生への恩返し、加えて初日の23日は長女の誕生日でもあった。さまざまな思いを込めて走った菊地は「全てがうまくいった。技量以上のターンだった。100点では収まらない。シンデレラボーイです!」。前向きで明るい精神が追い風を吹かせたのだ。

 賞金ランキングはトップの石野を抜いて8021万円。暮れのグランプリは当確だ。目標を聞かれると「いつものことですが、目の前のレースを頑張ること」。山を愛する男にふさわしいコメント。菊地は一歩一歩確実に前に進み頂上を目指す。

 ◆菊地 孝平(きくち・こうへい)1978年(昭53)8月16日、岩手県生まれの38歳。静岡支部。82期として98年、浜名湖で初出走。同期は赤岩善生、坪井康晴ら。04年7月、とこなめ周年記念でG1初優勝。05年8月、若松メモリアルでSG初優勝。通算成績4286戦1298勝。優勝49回(SG5、G19)。1メートル66、52キロ。血液型AB。

 ◆次走 石野貴之の次走は9月2日からのとこなめ一般戦。平石和男、鎌田義、興津藍らと優勝を争う。菊地孝平の次走は、9月7日からの宮島G1宮島チャンピオンカップ。白井英治、池田浩二、毒島誠らが参戦する。魚谷智之、長田頼宗の次走は、9月1日からの多摩川G1ウェイキーカップ。太田和美、山崎智也、瓜生正義らが出場。柳沢一の次走は10月1日からの大村一般戦。北川幸典、船岡洋一郎、佐藤翼らが相手となる。茅原悠紀の次走は9月7日からの平和島一般戦。浅見昌克、宇佐見淳らとVを争う。

続きを表示

この記事のフォト

2016年8月29日のニュース