名伯楽・武井師“金言”残して勇退「ずっと勉強。だから面白い」

[ 2016年7月29日 05:30 ]

28日で勇退した武井栄一師

 【地方競馬です!!】数々の名勝負を生み出してきた川崎の名伯楽、武井栄一師(70)が28日、川崎11Rを最後に勇退した。最後のレースを共にしたヴァイタルプリンスは母イシノラピドも師が管理し、02年東京プリンセス賞2着など活躍したゆかりの血統。5着と無事にゴールしたのを見届け「さっぱりした」。笑顔で半世紀超にわたる競馬生活を締めくくった。

 高校卒業後、父の故武井歌次師の下で厩務員になった。84年に調教師になるまで厩務員、調教師補佐を務めた。時にはクラブ馬主会社の社員として1969年、完成したばかりのJRA栗東トレセンに行くなど、厩舎の内、外から競馬を学んだ。多くの経験を生かし、調教師として通算679勝(重賞15勝)。04年、G1川崎記念を当時のレコードで制したエスプリシーズや、06年東京ダービー馬ビービートルネードを育てた。

 ダービーVの翌年、報知オールスターCを制したトルネードと師を取材した。わらの束で馬体をマッサージする手入れ法(厩舎言葉で“ムダわら”)など、昔ながらの職人技を大切にしていたのが印象的だった。新旧、馬にいいと思う技術を取り入れていた。「いまだに馬は分からない。ずっと勉強。だからこそ面白い」。馬と人が支え合い、学び合う。師はそんな姿を見せてくれた。 (秋田 麻由子)

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2016年7月29日のニュース