G1・5勝の女王ドーベルさま 最後の子も乳離れ、余生も楽しみ

[ 2016年7月26日 08:30 ]

メジロドーベル(奥)とドーベルの当歳(提供・レイクヴィラファーム)

 毎夏恒例の企画「純情牧場巡り 君に会いたい~3rdシーズン~」がスタートします。今回はレイクヴィラファーム(北海道洞爺湖町)にけい養されているメジロドーベル(牝22)をピックアップ。97年オークスなどG1・5勝の名牝。今年で最後となる予定の出産を無事に終え、元気に余生を過ごしている。

 16年にわたった大役を終えて、ようやく悠々自適の身となったメジロドーベル。現役時代にG1・5勝を挙げた名牝は、今年2月29日に最後の産駒となる父ルーラーシップの牡馬を出産。5日の離乳をもって、母親としての仕事に終止符を打った。レイクヴィラファームの岩崎義久さん(37)は牧場の功労馬に最大限の感謝の言葉を口にする。

 「まだまだ元気いっぱいですが、年を重ねると出産時の事故のリスクが増えます。後継の繁殖牝馬もたくさん残してくれましたし、のんびりと余生を過ごしてもらうことにしました」

 牧場には後継繁殖牝馬がメジロヒラリー、メジロルルド、メジロシャレード、メジロオードリーと4頭。さらに現役のレーヌドブリエもいずれは故郷に帰ってくる。シャレードからはショウナンラグーン、ルルドからはマッサビエルと活躍馬も出ているだけに、いつG1級の大物が登場しても不思議ではない。

 「ドーベルの母系をさかのぼれば、モーリスと同じメジロボサツにつながるんです。モーリスの活躍を見て、“この血統は走る”という自信が持てましたし、いずれモーリスが種牡馬になれば、メジロボサツの牝系クロスを試みたいという楽しみもありますね」

 “牝系クロス”が生産者としての楽しみなら、馬主としての楽しみも控えている。ドーベルの最後の産駒は岩崎さんの父で、レイクヴィラファームの代表を務める岩崎伸道さん(67)の所有馬として、ターフを駆けることが決まっている。

 「当初は昨年で繁殖を終える予定だったんです。ただ、ルーラーシップの2歳(ホウオウドリーム)の出来が良く、父も“人生最後の道楽を”ということで、もう一度ルーラーを付けました。種付料も預託料も父のポケットマネーで出しているんですよ。うれしいことに2歳に負けず劣らずの素晴らしい馬ですし、期待しています」

 ラストクロップは母が所属した大久保洋吉厩舎OBの高橋文雅師が管理予定。携わる人々の思いを力に変えて、ぜひともG1の舞台に駆け上がってほしい。

 ◆メジロドーベル(牝22) 1994年(平6)5月6日生まれ。父メジロライアン、母メジロビューティー。生産者は北海道伊達市のメジロ牧場。管理した大久保洋吉厩舎所属の吉田豊が全21戦に騎(JRA初4年連続年度表彰/)乗して10勝(重賞7勝、うちG1・5勝)。2歳時に阪神3歳牝馬S(現阪神JF)、3歳時にオークスと秋華賞、4歳時と5歳時にエリザベス女王杯を制覇。史上初のJRA年度表彰を4年連続で受けた馬となった。

続きを表示

この記事のフォト

2016年7月26日のニュース