【宝塚記念】ドゥラ嵐の前の静けさ 堀師の緻密な計画…あえて抑えめ

[ 2016年6月23日 05:30 ]

サトノクラウン(左)と併せ馬で追い切られ、力強い走りを見せたドゥラメンテ

 上半期の総決算「第57回宝塚記念」の追い切りが22日に東西トレセンで行われ、海外遠征明けとなる主役候補がきっちり態勢を整えた。美浦では昨年の2冠馬ドゥラメンテがWコースでサトノクラウンとの豪華併せ馬。力強い動きを見せ5F68秒9~1F12秒5で併入した。同レースは23日に出走馬、枠順が決定する。

 本気を出すのは本番でいい。ドゥラメンテの走りはそう言っているかのようだった。Wコースで先行。道中はサトノクラウンが内から1/4馬身ほど体を併せる形でプレッシャーをかけられながらもリズムは乱れなかった。直線は相手に合わせる余裕の動きで5F68秒9~1F12秒5。堀師は「まだ物足りない部分は感じているが、それは欲を言えばということで、しっかりこの馬のパフォーマンスを出せるのでは」と仕上がりをジャッジした。

 精神面の成長も感じられる。3週続けてサトノクラウンとの併せ馬だが過去2週はクラウンが先行したのに対し、今回はドゥラメンテが先行。師は「先週のクラウンの反応が鈍く、そこを補うためにクラウンを後ろから行かせた」と説明した。気性面に課題があり、これまで前に馬を置くことが多かったドゥラメンテにとって、G1当週の併せ馬で先行するのは初めて。それでも落ち着いてしっかり走れた。

 前走・ドバイシーマクラシックはレース前に右前を落鉄して英国ポストポンドの2着。帰国後は落鉄による影響を慎重に見極め、ケアをしてきた。堀厩舎では香港G1を連勝したモーリスが帰国初戦の安田記念で2着。師は「海外に行って結果を出すということはある程度のところまでやれているが、帰って来た後のパフォーマンスが出ないのは大きな課題」と帰国初戦への取り組み方をテーマに掲げる。「体力があるので無理なメニューを課してもこなすと思うが、段階的に進めていくことをことさらに注意した」。この中間は派手なパフォーマンスがないが“できない”のではなく、あえて“していない”に過ぎない。

 秋には登録済みの凱旋門賞挑戦も見据える。師は「期待は感じているが、スタンスとしてはいつも通り。競馬が終わって状態を確認してからになる」と慎重な姿勢を崩さないが、一方で「落鉄は偶然じゃない。次に生かして勝ち馬との差を少しでも詰めていけるようにしたい」と再戦への意識ものぞかせた。まずは帰国初戦。豪華メンバーがそろったドリームレースで国内最強の座を手にして、次のステップへと進む。

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