【英G1プリンスオブウェールズS】断然人気豊ヒカリまさかの最下位

[ 2016年6月16日 05:30 ]

6着に終わったエイシンヒカリ(左から2頭目)

 ヒカリ快進撃ストップ。英G1プリンスオブウェールズSが15日、ロンドン郊外のアスコット競馬場(芝2000メートル)で行われた。日本から参戦したエイシンヒカリ(牡5=坂口)は、直線で見せ場をつくったものの力及ばず最下位の6着に敗戦。香港C、仏イスパーン賞に続く日本調教馬初の海外G1・3連勝はならなかった。勝ったのはマイドリームボートだった。

 日本調教馬初のロイヤルアスコットVは夢と散った。やや立ち上がり気味のスタートも、難なくハナに立ったエイシンヒカリ。序盤の下り坂は無難にクリアしたが、最初のコーナーを迎えた辺りから、徐々に折り合いを欠き始める。前に行きたがるヒカリを、武豊がなだめながら最後のコーナーへ。直線入り口まで先頭をキープしたが、そこから伸びあぐねる。勝ったマイドリームボート、2着ファウンドが一気に抜け出していく中、内ラチ沿いで必死にもがいたが、差は広がるばかり。最後は力なく最下位6着に沈んだ。

 「難しいね。馬の状態も良かったと思うし、落ち着いていて雰囲気も良かった。最初はいい感じだったが、その後、少しハミをかんだかな…。直線では後続を突き放せるシーンがなかった。残念です」武豊は肩を落とし言葉を絞り出した。先週末から天候が悪く、レース直前にも大粒の雨が降って、馬場発表はソフト(7段階の6番目)。日本なら不良馬場に相当する悪コンディションだったが、鞍上は「それは言い訳にならない」と語気を強めた。

 英国王室ファミリーが見守る舞台で、ブックメーカーから“単勝1倍台”の断然支持を受けたが、期待には応えられなかった。序盤に力んだ分、余力が残っていなかったのか。勝ったのは地元英国のマイドリームボート。伝統と格式のG1で欧州競馬の意地とプライドを見せつけられた。

 快進撃は止まったが、ヒカリの戦いが終わったわけではない。秋には欧州競馬の最高峰G1凱旋門賞(10月2日)が控える。陣営は出否を明らかにしていないが、今年の舞台は10馬身差Vの実績を残したシャンティイ。出走なら再び注目されるのは間違いない。オーナーサイドは今年限りでの引退、種牡馬入りの意向を示しており、今秋がラストシーズンとなる見込み。欧州再挑戦か、それとも国内G1専念か。“超特急”の今後から、目が離せない。

 ▼武豊騎手 結果は残念でした。馬の状態も良かったと思うし、落ち着いていて雰囲気も良かった。最初はいい感じだったが、その後ハミをかんだかな…。直線では後続を突き放せるシーンがなかった。残念です。

 ▼坂口師 スピードのある逃げ馬に不利な馬場状態だった。4コーナーではいつもの手応えがなかった。馬場もシャンティイよりタフだった。

 ◆プリンスオブウェールズS 毎年6月に英アスコット競馬場で英国王室が主催するロイヤルアスコット開催(5日間でG1・8レース)の目玉で最高賞金レース。賞金総額は今年から大幅に引き上げられ75万ポンド(約1億2000万円、昨年までは52万5000ポンド)、1着賞金は42万5325ポンド(約6600万円)。1862年に皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)のエドワード7世を記念して創設。エクリプスSと並ぶ英国の春の古馬中距離路線の主要G1。日本馬は昨年、スピルバーグが初挑戦し6着だった。

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