【ヴィクトリアM】マジック左回りで剛脚再び!中川師「ベスト条件」

[ 2016年5月12日 05:30 ]

ボウマンを背に2頭併せで追い切るマジックタイム(左)

 東京競馬場で威力倍増のサウスポーだ。「第11回ヴィクトリアマイル」(15日)の追い切りが11日に東西トレセンで行われ、美浦ではマジックタイム(牝5=中川)が軽快なフットワークを披露した。前走・ダービー卿CTで皐月賞馬ロゴタイプを差し切った実力牝馬が、得意の左回りにG1初制覇を懸ける大一番。同じ中川厩舎の主砲ゴールドアクターは1番人気の天皇賞・春で12着に敗れたが、牝馬のエースで雪辱を果たす。

【ヴィクトリアM】

 手のひらに伝わる最高の手応え、鞍下から湧き上がる勝利の予感。マジックタイムの追い切りに騎乗したボウマンが満面笑みを浮かべながら引き揚げてくる。「ベリー・リラックス!ベリー・グッド・ムード!!(落ち着いていて物凄くいい雰囲気だ)」とベリーの連発。「作戦?道中はうまくバリア(壁)をつくる。長い直線では強い馬をトラックして(追いかけて)切れ味を生かす。そのためには1~6番枠が欲しい」。寡黙な豪州の剛腕が追い切りの感触に思わずレースのシミュレーションまで披露した。

 Wコースでワンパーセント(3歳500万)と併せ馬。強風の中、気負いひとつ見せずに6馬身後方を追走していく。直線、インに進路を向けると、小気味良いピッチ走法で並んだ。追えばどこまでもはじけそうな手応え。闘志を内に秘めたまま、馬なりで併入した。

 「ボウマンに初めて手綱を取ってもらったが、凄く落ち着いている。以前とは別馬のようだ」。追い切りを見届けた中川師も満足そうにつぶやいた。「持ち乗り(担当スタッフ)が乗ると借りてきた猫みたいにおとなしく、助手(攻馬手)が乗るとうるさくなって、騎手が乗ると飛んでいく…。マジックタイムはそんな馬だったが、昨夏の放牧を境に変わったね」

 強い追い切りをかけると燃え上がる気性。14年の新潟日報賞では本馬場入場時にラチを跳び越えて競走除外になった。強い調教ができずに条件戦で足踏みが続く。だが、成長を促すための休養で一変した。同厩舎のゴールドアクターをグランプリホースへ飛躍させた4歳時の放牧効果。「弱かった右トモ(後肢)も放牧を境にパワーアップした。だから、今ではダービー卿CT(中山)のように右回りもこなせるが、左トモはもっと強い。左回りのマイルはベスト条件」と師は続けた。

 3歳春には右回り阪神の桜花賞を自重したほどのサウスポー。この日の右回りの追い切りに「ベリー」を連発したボウマンは、東京競馬場での走りにどんな賛辞を贈るだろうか。「左回りは直線に向くと、馬体が沈む。以前騎乗してくれた後藤騎手(故人)がそう言っていたものな」(同師)。マジック(魔法)にかけられたように伸びる直線の先にVゴールが待っている。

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2016年5月12日のニュース