【桜花賞】ジュエラー2センチ差桜冠!輝く末脚、直線16頭ゴボウ抜き

[ 2016年4月11日 05:30 ]

直線追い込んだジュエラー(手前)はシンハライトとの激戦を制し鼻差で勝利

 その差、わずか2センチ――。牝馬クラシック第1弾の第76回桜花賞が10日に阪神競馬場で争われ、3番人気のジュエラーがゴール寸前でシンハライトを鼻差捉えて、G1初制覇を飾った。鞍上のM・デムーロ、藤岡健一師ともに思い入れの強い桜花賞を勝ち、歓喜の輪が広がった。次はオークス(5月22日、東京)で2冠制覇を目指す。圧倒的1番人気に支持されたメジャーエンブレムはスムーズさを欠く競馬で4着に沈んだ。

 ミルコ・デムーロの雄叫びがこだました。厩舎スタッフから「勝った!」と告げられた検量室前だ。JRA移籍2年目、日本人よりも日本人の心を持つ名手は「一番勝ちたいレース」と言い続けていた桜花賞を制し、喜びに打ち震えた。

 「初めて日本に来た時に桜花賞を見て、桜の咲く中で凄くきれいなレースだと思ったんだ。3年前に(弟の)クリスチャンが勝って、自分は2着。勝ちたい気持ちはさらに強くなっていた。とても気持ちいいよ」

 1番人気メジャーエンブレム、そして前走で敗れたシンハライトをライバルと意識しつつ、ジュエラーの競馬に徹した。いつものように発馬は遅かったが、焦ることはない。4角を後方2番手で通過。強敵2頭は3~4馬身前にいても、ミルコの手は動かない。ラスト300メートルでようやくスパート。仕掛けを遅らせた分だけ伸びる、伸びる。残り100メートルを切って、前に残すはシンハライトのみ。じわじわと差を詰めて、最後はまさに首の上げ下げ。ターフビジョンは、ラスト1完歩でシンハライトを約2センチだけ捉えたジュエラーの姿を映していた。

 「瞬発力が武器の馬だから、ダッシュせず、ゆっくり上がっていきました。直線ではメジャーが見えなくて、謙ちゃん(池添)の馬が怖かったけど、ジュエラーは凄く伸びてくれた。ゴールの瞬間は勝ったかどうか、分からなかったです」

 この日は次女レティツィアちゃんの6歳の誕生日。「いい誕生日にできたね」と喜びながら、もう一つ勝利を報告したい“ファミリー”の存在を明かした。ジュエラーの父ヴィクトワールピサ、さらにその父ネオユニヴァースはいずれもミルコ自身がG1制覇に導いたかつてのパートナーだ。「ネオもヴィクトワールも僕の家族。この血統で勝てて本当にうれしいよ」と無邪気な笑顔を見せた。

 ワンカラットなどの兄姉を手掛けてきたゆかりの血統でのG1制覇に藤岡師の喜びも大きい。涙をこらえながら、「僕は阪神競馬場で生まれ育ったからね。唯一のクラシックの桜花賞はどうしても勝ちたかった。(04年に)アズマサンダースで2着だったからなおさらだよ」と感動を口にした。

 今後は在厩で調整して、2冠制覇へ。「距離は長くなっても大丈夫。名牝の道を歩ませたい」と指揮官。桜の冠を手にしたジュエラーの輝きは、ますます増していく。

 ◆ジュエラー 父ヴィクトワールピサ 母バルドウィナ(母の父ピストルブルー)牝3歳 栗東・藤岡厩舎所属 馬主・青山洋一氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績4戦2勝 総獲得賞金1億5510万1000円。

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