“菜七子フィーバー”ファン&マスコミ殺到!パドックは重賞並み

[ 2016年3月6日 05:30 ]

デビュー戦を終え根本師(左)といっしょに会見する藤田菜七子

 日本中央競馬会(JRA)16年ぶり、7人目の女性ジョッキー藤田菜七子(18)が5日、中央競馬デビューを果たした。千葉県船橋市の中山競馬場での第2レースでネイチャーポイント(牡3)に騎乗し、直線で鋭く追い込んで勝ち馬に3/4馬身差まで迫る2着と大健闘。3日の地方・川崎競馬に続き、この日の中山も大にぎわい。6日は中山で2鞍に騎乗。人気騎手、武豊と直接対決する。

【レース結果】

 川崎に続き中山にも、菜七子見たさに多くのファンが訪れた。午前9時の開門時に1526人(前年比150%)が行列、2Rの売り上げも5億3947万4700円(同132%)とともに大幅アップ。2Rのパドックには重賞並みの人だかりができた。菜七子がパドックに姿を現すと、カメラのシャッターが一斉に切られ「カワイイ~」「ナナちゃん頑張れ!」の声援が飛んだ。この日は35社、220人のマスコミが集結した。

 前走で単勝42・7倍で10番人気だったネイチャーポイントは、菜七子人気もあって8・1倍の3番人気に推された。レースは好スタートを切り、逃げ争いに加わったが「速い馬がいたので切り替えて中団に付けた」(菜七子)と冷静に判断。最後の直線では6番手からグイグイと脚を伸ばし、勝ち馬に3/4馬身差の2着でゴール。場内からは「オーッ」とどよめきが湧き、直後には拍手が起こった。「“絶対に抜かしてやる”と思って追ったが、悔しい」と唇をかんだ菜七子に対し、1着馬に騎乗した吉田豊は「凄い声援だったので(後ろから)来ていると思ったが…。勝てて良かった」と安どの表情。

 デビュー戦2着はJRA所属女性騎手では最高着順。同期でもこの日勝利を飾った騎手はおらず、阪神5Rの坂井瑠星(18)と同じく最高着順だった。この日の菜七子はこの1鞍のみの騎乗。賞金は2着賞金200万円のうち騎手の取り分5%に当たる10万円、騎乗手当2万6000円、騎手奨励手当1万6000円の計14万2000円を稼いだ。

 師匠の根本康広調教師からはサプライズがあった。15日の高知競馬への自厩舎の馬(ハナリュウセイ)での参戦プランだ。6日、6頭の中央枠に入れば出走決定(6頭以上の登録があった場合は抽選)。高知には女性騎手の第一人者・別府真衣(28)が所属しており、根本師は「一緒のレースで戦わせたい。依頼が来ればどこへでも行かせたい」と語った。

 6日は2、12Rの2鞍に騎乗。憧れの武豊との直接対決が実現する。「いろいろ教えてもらいたいけど、負けたくない」と菜七子。すっかり勝負師の顔となっていた。

 ▽東京本社予想担当・鳥谷越明の騎乗分析 4コーナーで外に膨れるなど技術&体力不足は否めないものの、センスの良さは随所に感じられた。スタートから積極的に出していったが、左右の馬が速いとみると瞬時に控える戦法を選択。砂をかぶって馬が頭を上げると手綱を押して促し、勝負になる位置を確保している。馬に張りつくような重心の低いフォームも好印象。気持ちの強さも含め、騎手としての資質の高さを感じさせる初陣だった。

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