カッチー現役騎手初の琉球競馬参戦 一騎打ちで脚並みの美しさ競う

[ 2016年1月29日 05:30 ]

田中勝が参戦することになった琉球競馬。左は第5回大会で優勝したシンノスケ

 スポニチ本紙コラムでもおなじみの田中勝春(44)が沖縄伝統の琉球競馬に現役ジョッキーとして初めて出場することになった。同県沖縄市の「沖縄こどもの国」で31日に開催される第11回大会で沖縄在来馬の手綱を取る。また、2年連続で出場した岡部幸雄元騎手(67)は審判を務める。

 琉球王国時代からの伝統持つ競馬とJRAジョッキーのコラボが実現する。琉球競馬は直線走路を舞台に華麗な装飾を施した沖縄在来馬2頭の一騎打ちで脚並みの美しさを競い合う、世界に類のない馬競技。太平洋戦争後は途絶えていたが、13年に同地で70年ぶりに復活した。宮古馬、与那国馬などの小型馬を側対歩(右前後肢と左前後肢を同時に繰り出す)と呼ばれる脚の運びでリズムを崩さずに走らせるのが競技の特徴。田中勝は少年時代、出身地の北海道で北海道和種(ドサンコ)の側対歩競走に出場しており、「琉球競馬にもチャンスがあれば一度乗ってみたいと思っていた」と語る。フェアリーS(11日)の直線外斜行で31日までJRA騎乗停止中だが、伝統競技の出場に差しつかえはなく、夢のコラボ実現の運びとなった。

 手綱を取るのは、沖縄本島の約100キロ西方に位置する久米島から遠征する久米島馬牧場所有の在来馬。前回(15年10月)、前々回大会(同5月)で連続準優勝した与那国馬ククル(セン9)、14年3月の第5回大会で優勝した在来系雑種のシンノスケ(牡18=推定)のいずれかとコンビを組む。同牧場を経営する井上恵子さんは「田中勝春さんがどんな騎乗を見せてくれるか、とても楽しみ。2頭とも前日に久米島からフェリーで沖縄本島入りして態勢を整えたい」と語った。

 約30頭の出場馬がトーナメント方式で覇を競う21世紀の琉球競馬。優勝した人馬には当地の織物、知花花織(国指定伝統的工芸品)が贈呈される。サラブレッドで速さを競うプロの腕は、在来馬で美しさを競う伝統競馬にも通じるのか。南国、美(ちゅ)ら島の熱戦が注目される。

 ▽琉球競馬とは 沖縄言葉で「ンマスーブ(馬勝負)」、「ンマハラシー」と呼ばれる伝統競技。沖縄本島や宮古島などに創設された150にも及ぶ馬場で近世から昭和初期まで約200年行われた。審判が脚並みの美しさやリズムを採点して勝敗を決める。現在は側対歩で走れる馬が減少したため斜対歩(サラブレッドと同じ走法)も認められているが、同じペースの速歩で走り続けることが条件。折り合いを欠いて駆け足(キャンター)になれば減点されるなど人馬の呼吸が問われる。

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