【朝日杯FS】リオンディーズ 驚異の末脚で14頭一気差し!

[ 2015年12月21日 05:30 ]

ゴール前でエアスピネル(左)をかわしたリオンディーズ(手前)が2歳王者に輝く

 2歳王者決定戦「第67回朝日杯FS」が20日、阪神競馬場で行われた。2番人気のリオンディーズが驚異の末脚で、エアスピネルを駆ってJRA平地G1完全制覇の記録に挑戦した武豊の夢を打ち砕いた。まるで母シーザリオが05年オークスでエアメサイア(エアスピネルの母)を破った時を再現する強襲劇でファンの度肝を抜いた。

 「お母さんと同じか」

 レース後の検量室前、平地G1完全制覇を逃した武豊がエアスピネルの馬上で悔しそうにつぶやいた。直線で完全に抜け出すも、ゴール寸前でリオンディーズに差し切られた。天才の偉業を打ち砕いたミルコ・デムーロは「直線は凄い伸び。ユタカさん、スンマセンという感じでした」。

 まるで10年前の再現。05年オークスはスピネルの母エアメサイアが抜け出したところに、リオンの母シーザリオが強襲し首差かわしてV。その母から受け継いだ爆発力を引き出したミルコの好騎乗も光った。

 「外枠(15番)で、ゆっくり出ようと。スタートで出していくと、引っ掛かるかもしれなかったからね。ずっとリズム良く運べたし、いい手応えだったよ」

 レースを引っ張ったウインオスカーが、前半600メートル通過からペースを落とす展開。それでもミルコは焦らず後方2番手でジッと我慢した。直線は大外へ。残り300メートルでエアスピネルが先に抜け出したが、ダイナミックなフットワークで一完歩ずつ差を詰め、断然人気馬に競り勝った。

 角居師は「直線はかわせるかどうか分からなかったけど、ミルコの名前を叫んでいた」と興奮を隠し切れない。「返し馬で感触をつかんでくれたんでしょう。2戦目なので変な癖がつかなければと思ったが、その通り乗ってくれた」と鞍上の好騎乗を称えた。

 デビュー29日目でのG1勝利は98年阪神3歳牝馬Sのスティンガーと並ぶ最速タイ。新馬戦から400メートルの距離短縮にも難なく対応した。角居師は「勝手に前向きに走ってくれるし(調整面では)なだめるようにするだけだった」と明かす。母シーザリオも手掛けた指揮官は「前向きさとか、高い能力を受け継いでいる」と、その姿を重ね合わせた。

 2戦2勝で2歳王者に輝いた。角居師は「こんなに早くタイトルを獲れるとは。今後はノーザン(ファーム)系の牧場に出すと思う」と英気を養う見込み。ミルコは「二千まで持つと思う」と来春のクラシックに向けて距離適性を示唆した。JRA移籍1年目にG1・4勝を挙げた鞍上は、来週の有馬記念にサウンズオブアースとのコンビで挑む。「力のある馬。頑張ります」と、やる気十分。絶好調男が暮れのグランプリも“神騎乗”で盛り上げる。

 ◆リオンディーズ 父キングカメハメハ 母シーザリオ(母の父スペシャルウィーク)牡2歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績2戦2勝 総獲得賞金7816万2000円。

続きを表示

この記事のフォト

2015年12月21日のニュース