【香港カップ】武豊エイシンヒカリ パーフェクト逃げでG1初V

[ 2015年12月14日 05:30 ]

エイシンヒカリでG1香港カップを制した武豊は、香港のビル群を背に馬上で笑顔のガッツポーズ!!(AP)

 世界のユタカが香港で魅せた!香港国際競走が13日にシャティン競馬場で行われ、メーンの香港カップ(G1、芝2000メートル、1着賞金1425万香港ドル=約2億2240万円)は、武豊騎乗のエイシンヒカリ(牡4=坂口)が逃げ切り勝ち。デビュー11戦目でG1初制覇を飾った。同レースは2着にもヌーヴォレコルトが入り、日本馬が史上初となるワン・ツーを決めた。

 エイシンヒカリが先頭でゴールした瞬間、武豊は左手で小さくガッツポーズを決めながら穏やかな笑みを浮かべた。これまでに数え切れないほどの記録を打ち立ててきた競馬界の“レジェンド”にとっても、香港カップの優勝は初。「やっと勝てた。うれしいね」。異国の地でも巻き起こった“ユタカ・コール”に手を振って応えた。

 全てが戦略通りに運んだパーフェクトな逃げ切りVだ。外枠からスタートを決めると迷わず先手を主張し、平均的に速めのラップを刻む。直線を向いてグンと加速し、そのまま後続を寄せつけず楽々と押し切り。「行きたがったけど、何とかギリギリのところで我慢できて暴走にはならなかった。残り100メートルで勝利を確信した」と武豊。海外メディアからインタビュー攻めを受けると「ヌーヴォレコルト(2着)のファンには申し訳ないけど日本のジョッキーも一つは勝たないとね」と日本競馬界の第一人者として、胸を張った。

 自身の記録以外にも、どうしても勝ちたい理由があった。「先代のオーナー(平井豊光氏)は香港競馬に情熱を注がれていた方。“豊”で“光”という馬が勝てれば喜んでくれると思った」と武豊。レース選択の段階から、好勝負の手応えは感じていた。「香港は先手が取りやすく、この馬にとっては日本より条件が合う。コントロールが凄く難しいが、遠征がいい方に出れば…という賭けもあった」。能力と適性を冷静に見極めた眼力が、快挙につながった。

 海外でG1初制覇を達成したエイシンヒカリは帰国後に休養する予定だが、鞍上には今週末も大きな仕事がある。エアスピネルに騎乗する朝日杯FSを勝てば22あるJRA平地G1完全制覇という前人未到の大記録達成だ。「デビュー前から期待していた馬でここ2戦はパーフェクト。今回は凄いチャンス」。香港からの凱旋となる今週末に快挙達成で、レジェンドがさらなる伝説をつくる。

 ▽香港国際競走 毎年12月中旬に行われる香港ジョッキークラブ主催の国際G1シリーズ。スイスの時計メーカー「ロンジン」をメーンスポンサーにシャティン競馬場で同日にカップ、マイル、スプリント、ヴァーズ(芝2400メートル)の芝G1・4レースが施行される。優勝賞金は世界最高レベルで、カップが約2億2240万円、マイルが約2億462万円。出走馬、関係者の渡航費が全額負担される完全招待制とあって、日本馬の出走が多い。

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