【チャンピオンズC】ノンコノユメ100点 ダート型の前肢と芝型の後肢

[ 2015年12月2日 05:30 ]

鈴木氏100点評価のノンコノユメ

 ダート界の麒麟児(きりんじ)だ。鈴木康弘元調教師(71)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第16回チャンピオンズCでは4連勝中のノンコノユメをコパノリッキーと共に満点採点した。伝説の霊獣「麒麟」を思わせる不思議な馬体とは…。

【チャンピオンズC】

 前肢を見れば砂仕様、後肢に目を移せば芝仕様。ノンコノユメの立ち姿を見て、キツネにつままれたような気になりました。馬体の前と後ろが対照的なつくりになっているのです。伝説の霊獣になぞらえるなら、竜の顔と鹿の体を持つ「麒麟」のような不思議な前後のバランスとでも言うのでしょうか。

 愛らしい馬名とは裏腹な大きな鼻の穴を持ったごつい顔立ち、首は太く、胸前はぶ厚い筋肉でせり上がっています。ダートに対応できる前肢といえるでしょう。ところが、後肢はトモが薄く、飛節もダート馬にしては小さい。コパノリッキーやホッコータルマエのような重厚さはありません。伝わってくるのは芝にフィットした軽快さです。体重450キロ前後の中型馬。ダートで出世するには500キロ以上ある雄大な馬格と圧倒的なパワーが求められる。そんな私の持論からも大きく外れています。

 それでも、砂の王道を勝ち続けてきました。春には3連勝で交流G1を制し、前哨戦の武蔵野Sも古馬より重い58キロを背負って快勝。しかも、芝のような切れ味で追い込んでいます。ダート馬のイメージとはかけ離れた不思議な馬体で頭角を現してきた3歳馬。少なくても、そのはつらつとした立ち姿には連勝中の勢いを感じさせます。毛ヅヤも抜群。水をかけたら、若い脂分ではじきそうなぐらい輝いています。西の屈強な古馬勢が引っ張るダート界に現れた東の麒麟児です。 (NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘 1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなどで27勝。

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