【ジャパンC】ゴールドシップ100点 首から前後肢まで全てが完璧

[ 2015年11月25日 05:30 ]

馬体は100点のゴールドシップだが、気になるのはその反抗的な目つき…

 ボディーも“2強”が断トツだ。鈴木康弘元調教師(71)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第35回ジャパンC(29日、東京)ではゴールドシップとラブリーデイを満点採点した。他の有力馬を全て70点にとどめる中、100点満点を与えた馬体とは…。

【ジャパンC】

 引退の時期が近づき、芦毛にいっそう白さが増しても、G1・6勝の大看板にふさわしい馬っぷりを保っている。ゴールドシップの馬体に圧倒されたのは私だけではないでしょう。野性味にあふれる太い首、手繰るような走法を生み出す骨量豊富な肩、円熟を示す盛り上がったキ甲、衰えのないトモ(後肢)の筋肉…。飛節、膝、前後肢のつなぎは長さ、角度とも絶妙なバランスで調和しており、美しいシルエットを描いています。野性味と機能美を備えた馬体。休み明けでも腹回りは適度に絞れており、非の打ちどころがない。ただ一点を除いて…。

 覆面の間からのぞく目つきです。この馬体写真を撮影するカメラマンをにらみつけています。威嚇するような目つき。ライバルを威嚇する馬は多いですが、人間にこういう目を向けてくるとは…。反抗心がよほど強いのでしょう。

 「目は口ほどにものを言う」ということわざがあります。しゃべれない馬は気持ちを目と耳で示すもの。覆面を着けているため耳もカメラマンに向かっているかは断定できませんが、少なくとも、この反抗的な目つきに名騎手たちをてこずらせてきた理由がうかがい知れます。気分が乗らないと、鞍上でどんな指示を送っても反発するだけで動かない。宝塚記念も出遅れのアクシデントとは別に、走る気がなかったように映りました。希代のクセ馬といわれたカブトシローを思い起こさせる気まぐれ屋で意固地な性格が目つきに表れています。

 全てはゲート入り後の気分次第。やる気にさえなれば、太刀打ちできるライバルはいないでしょう。戦歴に加え、野性味と機能美を兼備した立ち姿はジャパンC有力候補の中でも傑出しています。 (NHK解説者)

 ▼カブトシロー 62年、青森産。67年秋には1番人気の目黒記念で最下位に敗れた直後に天皇賞・秋を優勝。続く有馬記念でも3角手前からのロングスパートで後続に6馬身差の圧勝を飾ったが、年明けのAJC杯では4着に敗れた。ムラ駆けが目立ち、76年春の天皇賞馬エリモジョージと共に希代のクセ馬と言われた。

 ◆鈴木 康弘 1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなどで27勝。

続きを表示

2015年11月25日のニュース