【天皇賞・秋】名手が驚く6歳ディサイファの成長力

[ 2015年10月29日 05:30 ]

坂路で力強い走りを見せたディサイファ

 【G1ドキュメント=28日】ディサイファの調教を見届けた小島太師が紅潮した顔で声を震わせた。「サラブレッドの世界では、めったにこんなことがないのに…。この馬に限っては…」。最盛期が過ぎたはずの6歳馬の急成長。「いや、そう感じるんだ。昨秋(12着)とは馬が違うぞ」と、長老記者の梅崎に真顔で語った。

 すさまじいストライドだった。坂路で単走追い。せり上がった全身の筋肉を激しく収縮させて、馬なりのまま4F52秒6、ラスト1F12秒4の好時計。「馬体が柔らかすぎたので成長を待ってきたが、まさかここまでとは…」。太い芯が入った鋼のような馬体に頼もしげな視線を向ける同師。「馬って、変わるものなんですね」。手綱を取った小島良助手も不思議そうな顔で6歳馬の成長力を口にする。

 毎日王冠では一瞬の脚が問われるスローペースで2着。「ジワジワ伸びるタイプだから不向きな流れだった。天皇賞を見据えて少し余裕を持たせた仕上げだったせいもある」と小島太師は言う。「問題はその後だ。回復がすこぶる早くて、息の入りも動きも凄い。札幌記念より良くなった」。仕上げに自信を見せる同師は騎手時代に天皇賞・秋2勝(86年サクラユタカオー、95年サクラチトセオー)。今回勝てば、2000メートルの天皇賞・秋となって史上初めて騎手、調教師両方の立場での制覇となる。「俺の記録よりもディサイファだ。急成長したものな」。かつて名手と言われた男の胸に盾獲りの感触がふくらんだ。

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2015年10月29日のニュース